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序章:守りたい者達の協奏曲

序章:守りたい者達の協奏曲


守りたいものがあった。それは、家族、友人、隣人、恋人……いいや、違う喩え赤の他人であろうと私は彼女を救いたかった。


「あぁ、どうしてこうなったんすかね」


重力の仕組みによって落ちていく自分の体を止める事は誰にもできない。それが例え、神様だったとしても無理だろう。だけど、それで良かった。


「あの子は、救えたっすかね」


今から死ぬ運命なのに、それでも彼女の事が心配で、だから落ちながら私は失笑してしまう。


「お人好しも過ぎるっすね」


今は他人の心配するよりかは自分の心配だろっと思う人はいるかもしれない。


「さようならっす、世界」


だけど、どう考えても、自分の心配をしたところで何も始まらない。だって私はーーーー


    ーーー地上5階から突き落とされたのである。


ーーーーーーー


 私は守りたかった。それは家族、友人、隣人。いいえ、違うわ。私はこの国の人々を守りたかった。


「どうしてこうなったの」


赤い光と緑色の光が窓の外から部屋を照らす。片隅にあった椅子に座った私はデカデカと溜息を吐いた。机の上の水晶に写っていた風景は悲惨で残虐でそれでいて最低だった。


「なんで、そんな暴挙に出たの」


座ったまま呟くとパンっと言う乾いた音共に水晶が弾け飛んだ。バレたようね。


「守りたいもの、守るものの為に力を貸してください、神様……」


魔女と呼ばれているのに神様に祈りを捧げなければならないとはね……私も落ちたものだな。


「……ってそんな事はないか」


ふふと笑うと、突如として部屋の中央に書いてあった魔法陣が光だし、動き始める。


「うそ!?うまくいったの……?」


私は思わず、その風景を見て驚いてしまう。なにせ、この魔法陣がうまく発動するとは見込んで無かったからである。


ーーーーーー


地面に当たって死ぬっと思った矢先いきなり背中に地面が当たり私は混乱しながら目を開ける。そこには何故か石と木で出来た天井が広がっていた。


『本当に召喚されたわ』


そして、変な言葉が聞こえてきて私は体を起こす。


「いてて……いや、まってここどこっすか、つか、なんで私生きてるんっすか」


周りを見渡すと、いろいろな液体が入っているフラスコが入っている箪笥と、何を書いてあるかわからない本がしまってある箪笥が部屋に置いており、窓際の机の椅子に隣に座っている魔女の格好をしている赤髪に水色の目の女性が目に入る。


『急になに言ってるの?貴方?』


「つか、誰っすか、貴方」


コスプレっすかねと思いつつ胡座をかいた私は、変な言葉で何かを言ってくる女性に言い返すと、女性は首を傾げる。あーさっきの声はこの人のだったんっすね。


『あれ、もしかして言葉通じてない?』


「は?モニョモニョ言われても分からないんですけど?言葉話すときはもっとハキハキ言ってくださいよ!」


『え、何が言いたいの、え、ちょ待って、と、取り敢えず、これ、これ飲んで落ち着いて!』


少し大きめの声で聞きながら立ち上がると、慌てた様にその女性は立ち上がり、机の上に置いてあった透明な水が入ったコップをこちらに勧めてくる。


「……飲めって事ですかね」


口にした瞬間、口の中に爽やかな森の味が広がり、その後に土の味が来て、そしてこれは……油?いや、待ってこれもしかして石油……っすよね……飲んだ事ないけど……て、これはヤバイ気がするっす!


「うげぇぇぇぇ、なに飲ませてるんっすか!」


反射的に口に含んだ物を吐き出す。吐き出した液体はやっぱり透明な水で、それがまた私の脳を混乱させてくる。それに対して魔女みたいな姿をした女性は驚いた顔になる。


『なんで吐いてるのこの子!ただの水だよそれ!って言っても言葉の通じないの忘れてたわ!』


「もういいっす!言葉が通じる人探すっす」


『待って待って待って、ちょっと待って、話せる様にするから待って!』


何言ってるかわからないその女性が私に縋り付いてくる。


「何言ってるか分からない上に、変な奴飲ませてくるのに信用できますか?できませんっすよ!」


『ちょっと待って、お願い、止まって、お願いだから!』


その人を引きずりながら私は部屋を出て、通路を歩き玄関らしきドアを開ける。


『ちょ、待ってそこは!』


開けた途端、目の前に魔法陣みたいな模様が現れる。


「へ?」


『ヤバイ!防犯魔法がっ!!』


ボウ!っと言う音共に炎が私を襲う。それと共に体が炎に炙られる感覚に襲われる。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


『え?無傷?』


「え?なになに?これって私が丸焼きにされる流れじゃないんっすか!?って待って、服がボロボロボぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?」


無傷の体と炎に燃やされた服に驚いていると、突然頭の後ろから重い鈍器に殴られたような衝撃が走り、前に飛ばされる。


「はらほれはらふぅ〜」


そして、地面に叩きつけられた私の視界が暗転するのであった。

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