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アニメ フラクタルをレビュー

作者: ひろあき

最近見たアニメの中でこれが1番面白かった。というのも、世界観が自分好みだなと思ったからだ。


物語の設定は、非常に独特である。世界は争いのない世界であり、ドッペルという自分の分身体をデジタル化したものによって、生活を肩代わりしてもらうことができる。つまり、実質上仮想空間の中で人々は生きてることになり、大元となるオリジナルの自分は車の中で寝て過ごすという生活をしているということだ。


それ故に、人々は現実世界で肉体労働をすることもないし、家すら建てない。食事に関しては、フラクタルシステムによって提供され、ドッペル機能をメンテナンスする日にメンテナンスを行ってさえいれば、生活には何ら支障はなく裕福な暮らしができるということになる。


しかし、後々わかってくることだが、ドッペル機能の機械そのものは、ドッペル機械を維持する中枢部分によってドッペル機械たらしめられている。では、ドッペル機能はいかにして維持されているのかというと、実は衝撃的なことに人の遺伝子細胞だったという話だ。つまり、オリジナルの多くのクローンが製造され、そのクローンによってフラクタルシステムというドッペル機能の中枢部分は維持されている。


この話は最終的に、フラクタルをぶっ潰すために、フラクタル側であり、かつクローン製造の柱となっていた少女と反フラクタル側の陣営とどちらでもない側の主人公が力を合わせた結果、主人公は少女と一緒に暮らしていくという終わり方をするわけだが、この話を総合すると以下にまとめられる。


1制限されてないところに自由はない。

2 人が人を創っても良いか。

3責任の問題?人格の同一性問題?


1については、争いも労働もないことから、人間は一見自由奔放な暮らしに開かれているように思われる。だが、実際のところはただフラクタルシステムに依存しているだけであって、毎回メンテナンスがあるときに人を洗脳する光を見せられて何も考えない人間に仕立てられているだけだ。

したがって、そこに自律がない。自律がないということは、その自由は仮初めの自由に他ならない。

そして、主人公の父親のドッペルは、「自由を縛るのは良くない」というが、むしろフラクタルの人々はその「自由」に縛られている。つまり、フラクタルなしでは生きられないようにさせられてしまっているのだ。だが、そこに本当の自由は見いだせるのだろうか。そういう問いかけを発しているように思われる。


2について、印象的だったのは「フリュネは僕にとって特別なんだ」という主人公の台詞である。


人間が人間を創ってはいけないのは、人間が一人一人特別な存在だからである。一人一人特別であるということは、一人一人掛け替えのない存在であり、各々の個性を有しているということだ。だから、どんなに頭が悪くても、顔がそばかすだらけでブサイクでも、誰もがその不完全性を受け入れて生きている。

ただ、人間が人間を創つべきでないかどうかという問題は、難しい。なぜなら、種の繁栄としては非常に合理的な選択だからだ。だから、フラクタルシステムを維持するための合理性がどうして否定されなければならないのか、それを論理的に説明するのは難しい。ただ、おそらく、それは「自由」ということに関わっているのではないかと考えている。


最後は3についてである。

この問題は、最後のシーンで見いだせると思う。最後、フリュネがドッペルと一体となることで、二重人格みたいなことになっているが、これは一体何を意味するのだろうか。また、そもそもクローンがフリュネの子供だった頃の姿形をしていたのも気になる。だが、これが何を意味しているのかはどうやら語れそうにない。そもそも、何が問題になっているのか非常にわかりにくかったからだ。


3については2つの解釈があり得る。1つはフリュネがどんなことになっても愛せるかという責任の問題として。それからもう1つは、「好き」が好きだったドッペルフリュネと「好き」が嫌いのリアルフリュネが同居しているとはいかなることかという問題として。

どちらか一方が正しい解釈であるということではなくて、どちらも連関し合った解釈だと思われる。だから、誰かわかる人がいたら教えて欲しい。

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