Chapter1-95
レオンハルトは城の中で変身を解いたので、仲間には少し驚かれた。
「レオンハルト……!?」
「まあそこまで驚くなって、エリファー」
そんなレオンハルトに、ファーラはいった。
「レクシオン王子の許可が下りたのですね」
「まあな。流石にレオンハルトとしてここに入国したわけじゃないから、城の外には出られないが」
そんなレオンハルトに、リリィはいった。
「まあ、休めるのはいいことよ。あなたが逆にレオンハルトとしての振る舞いを忘れそうだし」
「夜はいつも俺の姿で居るからそこまででもないかな」
レオンハルトの言葉に、エリファーはこう返す。
「レオンハルトには役者の素質があるんじゃないかな?」
「役者の柄じゃないって。俺は騎士がやりたかったしな」
レオンハルト……玲緒奈はファンタジーの騎士に憧れがあったのだ。
だからこそ転生後に中世風ファンタジーの世界を選んだわけだし。
ちなみに彼は生前卓球部だったため、演劇の知識はからっきしだ。
「ともかく、今日は一緒に訓練でもしないかな?」
「とはいえどうするんだ?結界は今この部屋周辺と裏庭ぐらいにしか……そうか!」
はっとするレオンハルトに、エリファーはいった。
「裏庭は狭いけど、閉所での訓練というものもある。そうよね?」
「ああ、エリファーのいう通りだ」
そういってレオンハルトはエリファーと手合わせし始める。
正々堂々と訓練したいので王家の聖剣とのリンクは一旦切ってファーラに預け、模造刀に持ち替えている。
勿論、エリファーも持っているのは二刀とはいえ模造刀だ。
王家の聖剣は、取り落としていてもレオンハルトが今いる町くらいの範囲にあるなら所有者に力を与えられるのだ。
「はあっ!」
「あなた、素の戦闘力も強くなってきたんじゃないの?」
そんなエリファーに、レオンハルトはこういった。
「派手に動けない宿の中といえ筋トレやイメトレはしていたしな」
「なるほどね、王家の聖剣の力に頼ってばかりじゃいられないと思ったのかしら?」
エリファーの問いに、レオンハルトは首を横に振った。
「サタゴニア王国とやりあう時はそうもいってられない。が、自分自身も強くならないといけないと思ったのも確かだ」
「結構オンオフの切り替えが得意なのね、あなたは」
そんなエリファーに、レオンハルトはいった。
「騎士の頃からそうだったと思うが?」
「間近で見たら尚更そう思えるってことよ」
そう返すエリファーに、レオンハルトはいった。
「確かに、オフの時は別々に動くことが多かったしな」
「そういうことよ、レオンハルト」




