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Chapter1-93

 翌日、レーナ姫はレクシオン王子に呼ばれた。


「もう心の準備はできているんじゃないか?」


「ええ、できているわ」


 そんなレーナ姫に、レクシオン王子はいった。


「いつまでしらばっくれている?」


「どういうこと?」


 首をかしげるレーナ姫に、レクシオン王子はいった。


「俺はキスして欲しいといった時の君の対応……デートした後だからできると思った僕も浅はかじゃないわけじゃないけど」


「それに違和感があったっていうの?」


 そんなレーナ姫に、レクシオン王子はいった。


「レーナ姫は病弱だったっていう。何故身体の心配をしなかった?」


「戦えるくらいは元気なのよ」


 レーナ姫の言葉に、レクシオン王子はいい返す。


「それは王家の聖剣を持っているからだろ。幾らなんでも、あれだけ連れ歩いている間ずっと剣の力は使わないはず」


「それって……」


 そんなレーナ姫に、レクシオン王子はいった。


「とはいえ君が王家の聖剣を持っているということは、仮にこの推測が正しくてもただの偽者ってわけでもないだろ?」


「流石にそういわれたら、あなたに悪いわね。人に見られちゃいけないから、念のために玉座で見せるわ」


 そういってレオンハルト……レーナ姫はレクシオン王子に連れられて玉座に向かうと、変身を解く。


「俺はレオンハルト・シュナウザー。最初は女装で代役やっていたが、竜のオーブで変身できるようになった」


「あえて敬語使ってないとこ見るに、男だったのか。流石にそれは予想外だったけど、僕はそれでも構わない」


 そんなレクシオン王子に、レオンハルトはいった。


「お前、そういう趣味なのか?」


「いや、そんな趣味は無い。だけどレーナ姫として振る舞う君に惹かれる物があった」


 レクシオン王子の言葉に、レオンハルトはいった。


「なるほど、分からん」


「これはあくまで僕の思いだ。迷惑だったなら構わない」


 レクシオン王子に、レオンハルトは向き合った。


「私は偽者だとしっても私のことを認めてくれるあなたがいい人だと思うから、それに応えるだけです」


「敬語にここで戻すってことは、僕を王たる器として認めるということか。ああ、別にため口で構わない」


 レクシオン王子のお墨付きをもらったので、レオンハルトはため口でこういった。


「俺は騎士だしな、相手がどういう男か見極める力量はあるつもりだ」


「なるほど、そういうことだね」


 レオンハルトは竜のオーブで、再びドラゴンプリンセスとしてのレーナ姫の姿に変身するのだった。


「まあ、私は対外的にレーナ姫として振るわなければならない存在だけどね」

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