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Chapter1-91

 レーナ姫はレクシオン王子に服屋へ連れられた。


「さあ、プリンセス。君に似合う服を用意するよ」


「あ、ありがとう」


 レーナ姫になっているレオンハルトは服を選ぶ機会が結局無かったので戸惑った。


 結果として、素直にレクシオン王子が喜ぶ衣装でいいやと自分のことなのに達観した感情が湧いてくる。


 そんな『彼女』を尻目に、レクシオン王子は自分のセンスで服を選ぶ。


 女性が好みそうなデザインをきちんと考えている辺りはさすがだが、

本当の女性ならどう思うのか判断に困るとレオンハルトは考えた。


 とはいえ町を出歩いている時町民の衣装は一通り見て回ったので、

それと無く無難にやり過ごすことはできているのだが。


「そうね。候補としてはこんな感じかしら」


「流石にレーナ姫はお目が高い。とはいえ、そこまで余裕があるわけでもないからこの中から選んでいいか?」


 レクシオン王子の問いに、レーナ姫は頷いた。


「いいわよ、好きに選んで」


「分かった」


 結局はレーナ姫になっているレオンハルトがそれと無く選んだ衣服を

レクシオン王子がさらに厳選するという形である。


 とはいえ嫁ぐ相手であるということもあり店員はそこまで違和感を感じていなかった。


「それでは、昼食にしよう」


「そうね、レクシオン王子」


 レーナ姫がそう頷くと、レクシオン王子はパイ屋に入る。


 パイといってもミートパイのように他の料理とそん色ない物もあるため、

レーナ姫達はそれを食べることになるわけだが。


「高級ミートパイと……飲み物はどうする?」


「私はミルクティーをお願いするわ」


 そんなレーナ姫に、リリィはこういった。


「私もミルクティーで」


「私はレモンティーをお願いします」


 そんなファーラに、エリファーはこういった。


「私はミルクティーにするわ」


「飲み物は決まったわよ」


 レーナ姫にそうせかされたレクシオン王子は店員にこういう。


「では高級ミートパイ5つにミルクティー4つ、それとレモンティー1つ」


「承知しました」


 そういう店員に、レクシオン王子はお金を払う。


 王族なので結局のところは税金なのだが、それはそれとしてお金を回す必要があるのだ。


 さっきの服屋にもお金を支払っているのはいうまでもない。


 ともかく、頼んだ物が出てくると五人はこういう。


「いただきます」


 そしてミートパイに口を付けると、肉汁が溢れてくる。


「美味しい……!」


「レーナ姫が喜んでくれているなら何よりだ」


 レクシオン王子が素でそういうのを横目にファーラはこういった。


「流石に高級というだけはあって手が込んでますね」

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