Chapter1-90
そういうわけで、魔導書を入手したレーナ姫達は趣味の本も古本屋で買ってから城へと戻る。
そして、少し待っていると他の二人も帰ってきた。
「そろそろ夕食だそうです」
「ファーラのいう通りね、今日は何かしら」
エリファーがそういうタイミングで、ヴェラは料理を運んでくる。
「トマトのミートソーススパゲティです。ドリンクも交換しておきました」
そういってヴェラは礼をしてから下がっていく。
「いただきます」
四人はそういってからパスタを食べていく。
すると、それがかなり上質なパスタであると確信する。
「中々いい小麦粉を使っているみたいね」
「レーナ姫のいう通りですね。流石は来賓用のスパゲティといえます」
そんなファーラに、リリィはこういった。
「こういうパスタを食べるのは初めてね……」
「そうなの?」
エリファーの問いに、リリィはこういった。
「こうした物は一般的な店で充分だと思っていたしね。けど、これは格別ね」
「なるほどね。まあ、パッと見でいい物を食べたいってのは誰しもが抱く感情よ」
そんなエリファーに、ファーラはいった。
「そうかもしれませんね」
「ともかく、これ食べたら風呂に入ろう」
そしてパスタを食べ終わった四人は寝る準備をしてから眠りに就く。
そして翌朝、朝食を食べ終えた四人はレクシオン王子に呼ばれる。
「今日は一日私と付き合ってくれないか?」
「ええ、いいけど。それなら……」
そんなレーナ姫の言葉に、レクシオン王子はこういった。
「君のお連れに護衛をやってもらいたいと思ったんだが、それでいいか?」
「皆に異存が無ければ私はいいわ」
そんなレーナ姫に、三人は頷いた。
「大丈夫みたいだから、三人には護衛をやってもらうわ」
「それではレーナ姫、お手を」
レクシオン王子の差し出した手を、レーナ姫は握る。
「それじゃあ、行くわよ!」
「私について来てください、レーナ姫」
そんなレクシオン王子に、レーナ姫はいった。
「分かってるわよ」
「ならいいんだけど」
そんなレクシオン王子を見やり、ファーラはいった。
「私たちは全力であなた達の護衛をします」
「頼んだぞ」
レクシオン王子はそういって、歩き出す。
レーナ姫はその歩みに合わせて歩いているので、中々新鮮な感覚だった。
町に歩みだすと、人々の注目がレーナ姫達に集まる。
「ちょっと気恥ずかしいけど、これも親睦を深めるためよ」
「そうだな。婚約者なんだし、君のことは知る必要がある」
レーナ姫はレオンハルトがドラゴンプリンセスに変身することで代役している存在だが、
それでもレオンハルトはレクシオン王子の人柄を知っておくべきだと思い頷いた。




