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Chapter1-89

 リリィの言葉に、レーナ姫はこう問いかける。


「あなたには使えるの?」


「問題ないわ。これはサキュバスが眷属を作るのに使う罠があって、発動しないように封じてあるわ」


 そんなリリィに、レーナ姫は納得したようにいった。


「あなたはサキュバスの眷属契約を交わしていたから問題ないってこと?」


「いや、そもそもサキュバスにこの手の罠は意味がないの」


 リリィの言葉に、レーナ姫は首をかしげながら問いかける。


「それはどうしてかしら?」


「厳密には、サキュバスだけじゃなく眷属契約を交わす魔族全てにいえること。同族なら尚更ってだけ」


 前置きするリリィに、レーナ姫はいった。


「サキュバスだけじゃない、ってことね」


「そうよ。そしてそれは眷属の主替えか主が死んだ眷属を眷属にするか、あるいは普通の眷属契約だけど」


 そんなリリィに、レーナ姫はいった。


「サキュバス同士で普通の眷属契約ってのもシュールだけどね」


「眷属の主替えは眷属契約に介入する必要があるし、主が死んだ眷属は主が心に住み着いている」


 レーナ姫はそんなリリィに、こういった。


「つまり、眷属契約に抵抗力があるってことね」


「そしてその手の眷属契約は強引に堕とすことになるけど、同族ならそういうことされてもキャパシティーが大きい」


 レーナ姫は頷きながらこういった。


「なるほど、つまり本を使っての眷属堕としには余裕で耐えるってこと?」


「まあね。だからサキュバスが自ら眷属契約を結ぶ時は、自らの精気を相手に差し出す形が主なの」


 涼しい顔でいうリリィに、レーナ姫はいった。


「サキュバスが自ら眷属になるのってメリットはあるの?」


「主の庇護下に入れる、という点では大きなメリットよ。だから力の弱いサキュバスは相性のいい主候補を探すの」


 そんなリリィに、レーナ姫はいった。


「ともかく、その本が要るの?」


「結論からいうと、これは私が使うとしてみればちょっと強いわ。広範囲の精気を操る魔法が秘められているけど」


 レーナ姫はそんなリリィに、こういった。


「それを使いこなすだけの力はないと?」


「そうね。流石にキャパシティーをオーバーしてしまうから、誰かが素直に魔導書として使った方がいいかも」


 そんなリリィを見て、レーナ姫はいった。


「一応買っておこうかしら。リリィが成長したら使えるようになるかもしれないし」


「なるほどね」


 レーナ姫はサキュバスプリンセスにも変身できるので、その姿ならサキュバスの魔導書も使えるのだ。


「じゃあ普段は私が管理しておくわ。店員さん、これ一つお願い」

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