Chapter1-88
「なら、やるしかないってことか」
レオンハルトは聖剣を再び収め、レーナ姫の姿のまま玉座へと向かう。
「式典が終わったとこだし、外に出ていいかしら?」
「いや。そろそろ昼食の時間だ、皆にも集まるよういってくれないか?」
レクシオン王子にそういわれたので、レーナ姫はこういった。
「ええ、通信魔石を渡していたから呼ぶわ」
そして、レーナ姫は仲間に呼びかける。
「昼ご飯あるから戻ってこい、っていってたわ」
そして、レーナ姫の仲間は城へと戻ってきた。
「さてと、昼食は何かしら」
「レーナ姫、流石にそろそろ軽いものが出るんじゃないかな?」
そんなエリファーに、レーナ姫はいった。
「実際何が出ると思うの?」
「カプレーゼなら比較的軽いかと思います」
ファーラがそういうと、ヴェラはこういう。
「お待たせしました、昼食のカプレーゼとコーンスープでございます」
食事を運び終えたヴェラは下がっていった。
「予想通りだったわね、ファーラ」
「こういう勘は当たりやすいんですよ、レーナ姫」
そうレーナ姫がいうと、四人はこういった。
「いただきます」
そして昼食を食べ終えてしばらくすると、ヴェラが部屋に入って来る。
「夕食までは自由時間なので、城下町を探索していても構いません」
「分かった、ありがとう」
レーナ姫はそういって部屋を出ると、城の門を開けて城下町へと向かう。
「探索するのはいい気分転換になるわ」
変身を解いたら不審者扱いされるかもしれないので変身を解けないのが残念だけど、とレオンハルトは思った。
レーナ姫の姿なので口には出さなかったが。
「ともかく、本屋とか無いかしら」
レオンハルトは通信魔石とお金を持っているので、レーナ姫の姿のままだが多少は買い物もできる。
「とはいえ今日の持ち分じゃ古書くらいしか変えなさそうだけど」
ファーラがメイドとして持ち分を管理しているので、お金は自由に使えない。
ファーラはプロなのでコッソリお金を使うことも無いので、レオンハルトは文句をいえないが。
ともかく、古本屋をレーナ姫は見つける。
だが、そこにはリリィも居た。
「どうしたの、リリィ?」
「サタゴニア王国関連の本とか無いかな、と思ってさ」
そんなリリィに、レーナ姫はこう問い詰めた。
「サタゴニア王国関連の本?」
「魔族のおとぎ話よ。私も一冊は持っているけど……」
と、リリィは魔力を感知したようだ。
「これは……封印が施されている魔導書?何でこんな物が古本屋に?」
すると、店主がこう話しかける。
「ああ、それは魔族の人が売っていったんですよ。封印してれば無害な魔術の検算書になりますからね」
「とはいえ、封印される曰くものを使うような魔術師はあまりいないってことね」




