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Chapter1-87

「さて、ここに居るのはシューヴェスト王国から遥々やって来た我が許嫁……」


「レーナ・クロニア・シューヴェストです。よろしくお願いします」


 レクシオン王子の紹介に従ったレーナ姫に、民衆はざわつく。


「すげー美人……」


「でもどことなく俗っぽくないか……?」


「シューヴェスト王国は中堅だ。ラグラント王国に比べたら田舎だからそのせいじゃないかな」


「ああ。それにシューヴェスト王国の王族は代々王家の聖剣を継承するらしい」


「戦場に立つ分、俗っぽいっていいたいのか?レクシオン王子は確かに演説しかしないけど……」


「仕方ないだろ、王族の血を絶やすわけにはいかないんだから」


 ざわつく民衆に、レクシオン王子はこういった。


「皆さん、静粛に。これは、ただの婚約ではない」


「はい。王家の聖剣を持つシューヴェスト王国の姫が、強国であるラグラント王国に嫁げば敵は居ません!」


 レーナ姫の代役であるレオンハルトは馬車の中で式典の練習させられていたので、

しっかりと言葉を発することができている。


 そして『彼女』は聖剣を掲げる。


「私はサタゴニア王国との戦いの終止符を討つべく共に戦うことを宣言します!」


「その言葉、王家の聖剣に誓えるか?」


 レクシオン王子の問いに、レーナ姫はこう答える。


「王家の聖剣に誓い、私はそれを遂行します!」


「よろしい、剣を収めよ」


 レーナ姫は王家の聖剣を仕舞い、礼をする。


 民衆は歓喜に沸いていた。


「では、これより我らは共に歩む者であると」


「ここに宣言します!」


 レクシオン王子にレーナ姫は続き、式典は終了した。


 広場から城へと踵を返すと、レーナ姫はレクシオン王子にこういわれる。


「中々いい鼓舞だった、けど愛を誓えない理由があるのか?」


「あなたは悪い人じゃなさそうだけど、政略結婚で愛を誓うのは流石に難しいわ」


 そんなレーナ姫に、レクシオン王子はこういった。


「それもそうか。まあ、私も気になっただけだ」


「別に構わないわ、そのくらいわ」


 そういってレーナ姫は部屋に戻ると、結界を張りレオンハルトとしてこういう。


「愛を誓えない理由はありありだけどな。ただ、サタゴニア王国と戦うってのは聖剣に誓える」


「だから俺がいったことは嘘じゃない、それでいいだろ?」


 レオンハルトは聖剣を見やりながらそういった。


 聖剣から光は失われていないため、彼の行いを王家の聖剣は特に咎めなかったようだ。


「エクスカリバーと名付けたりオーブを組み込んだりしたし、この剣は清濁併せ吞むタイプなのかもな」

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