Chapter1-86
「そもそも同性、ね。まああなたから見ればそうだろうけど……」
「それは分かっているよ、リリィ。だからこそ気付かれるわけにはいかない」
レオンハルトはそういい、風呂へと向かう。
その間にファーラはドリンクを外に出しておいた。
「しかしながら広い風呂だな。部屋も広いし、ゆっくりできそうだ」
「姫様の部屋とどっちが広かったの?」
そんなエリファーに、レオンハルトはこういった。
「同じくらいかな。流石に来客用だから、といっても王族用だからランクは高い方だろうけど」
「たまに王が狭い部屋に住まうこともあるそうです。その方が落ち着く、という理由で」
そんなファーラに、レオンハルトはいった。
「まあ王様も代によって性格が変わるからな。リリィはこの国の悪い噂を聞かなかったか?」
「魔族はよその国の悪口をいうことが多いからあてにはならない、けど人間だった時には聞かなかったわ」
リリィの言葉にレオンハルトはこういった。
「まあ敵同士だしな。ともかく、今日は風呂入って寝るぞ」
「精気をお願いするわ」
リリィの言葉に、レオンハルトはこういった。
「分かったって。王家の聖剣よ、リリィに精気を分け与えよ!」
「ふう。流石に精気の補給が無いと落ち着かないものね」
リリィがそういうと、四人は寝る準備を始めた。
そして眠りに就き、翌朝になる。
レオンハルトはドラゴンプリンセスに変身して朝食を待っていた。
「トーストとビーフシチューでございます。ドリンクもどうぞ」
ヴェラがそういって朝食を持ってくると、礼をして立ち去った。
「いただきます」
四人がそういって朝食を取り終えると、ヴェラが再びやってくる。
「レーナ姫、こちらに」
「三人はここで待機かしら?」
レーナ姫の問いに、ヴェラはこう答える。
「お三方は自由に動いて構いません」
「分かった、ならみんなは好きにしといて」
レーナ姫はそういってヴェラに付いていった。
「ここは?」
「来るときに通ったとは思うけど、広場だよ」
そんなレクシオン王子に、レーナ姫はこういった。
「つまり、今から式典があるのね」
「ああ、そうなるな。強制ではないが、大勢の人間が集まって来る」
レーナ姫は階段が兵士で塞がれているのを見たが、それは王族を守るためなので何もいわなかった。
「始まるぞ、レーナ姫。心の準備はできているか?」
「できているわ、レクシオン王子」
頷くレーナ姫に、レクシオン王子はこういった。
「さて、皆さんお集まりいただきありがとうございます」




