Chapter1-85
レクシオン王子の話を聞き終えたレーナ姫はこういった。
「ともかく、一週間はここで休んでおいた方がいいってことよね?」
「式典をやってもらいたいけど……そうだね。今日は来たばかりだしゆっくりしていい」
レクシオン王子はそういった後、こう続ける。
「ヴェラ、レーナ姫達を部屋へとお連れしろ」
「かしこまりました」
ヴェラの案内で、レーナ姫達四人は部屋へと向かう。
「では、ごゆっくりしていってください」
「ありがとう」
レーナ姫が一礼すると、ヴェラは部屋の扉を閉めるのだった。
「広い部屋ね……」
「レーナ姫がそういいたくなるのも分かります、今までの宿に比べて格段に広いですから」
そうして話をしていると、四人の前に食事が運ばれる。
「お待たせしました、高級牛のステーキと温野菜でございます。酒類は飲まれないとお聞きしましたが」
「ええ。私たちは誰も飲みません」
そんなファーラに、ヴェラはこういった。
「では、ソフトドリンクを置いて行きますね。お好きな物をお飲みください」
「分かったわ」
レーナ姫がそういうと、ヴェラはお辞儀をしてから下がっていく。
「流石は城勤めのメイドね」
「ええ、私からみても充分作法が整っていると思います」
そして四人は手を合わせる。
「いただきます」
そしてレーナ姫は結界を張ってこういった。
「それにしても婚約者か……」
「説明はしていましたが、何かご不満ですか?」
そう問いかけるファーラに、レオンハルトは変身を解いてこういった。
「変身したまま食べる癖が付いていたな。まあその方がいいんだろうが……」
「大丈夫です、続けてください」
ファーラにそうせかされたので、レオンハルトはこういった。
「俺は男でレクシオン王子も男だ。いくら代役とはいえ、そんなの詐欺だろ」
「活かし方ありません。万が一の時は、私が……」
そんなファーラの言葉をレオンハルトはこう遮る。
「そうならないように努力はするさ。これは俺の気持ちの問題だ」
「まあ、割り切れないのは分かります」
ファーラの言葉に、エリファーはこういった。
「レオンハルト、あなたはレクシオン王子のことどう思うの?」
「それってどういう……」
レオンハルトの問いに、エリファーはこういった。
「私はあなたのことが好きだよ、レオンハルト」
「今いうことか?レクシオン王子は好きか嫌いかでいえば好きってだけであって、それ以上でも以下でもない」
そんなレオンハルトに、エリファーはこう返す。
「そう、なら良かったわ」
「そもそも同性だしな」




