Chapter1-80
そうして、四人は食事を待っていた。
「お待たせしました、ローストビーフとトマトスープでございます」
係はそういって下がっていく。
「いただきます」
四人はそういって食事を始める。
「美味しいわね。国境沿いなだけはあるかしら」
「レーナ姫のいう通りですね。きちんとできています」
そんなファーラに、リリィはいった。
「ええ、濃厚でサキュバスでも満足の一品よ」
「それ、変な意味に捉えそうになるんだけど……」
エリファーの言葉に、レーナ姫はいった。
「そういうこと気にする暇があったら食べるのよ」
「なるほど、分かるような分からないような……」
四人は食事を食べ終えると、風呂に入ってから寝る準備をする。
そして眠り、翌日になる。
翌朝に出された朝食を取ると、四人は窓口で代金を支払ってから駅馬車に乗り込む。
「さて、検問所を超えたらラグラント王国です!」
そういってファーラは駅馬車を走らせる。
宿屋から話が入っていたこともあり、検問所の兵士は四人の乗った駅馬車をすんなりと通す。
「エトランズまでもそこそこ長いので、気合いを入れていきましょう」
「ファーラのいう通りね。ラグラント王国に着いても、そこが目的地ってわけじゃないから」
そんなレーナ姫に、リリィはいった。
「ジェノス城……着いたらそこで寝泊まりを?」
「そうなるでしょうね。私たちは王家の使者、邪険には扱えないでしょう」
ファーラの言葉に、レーナ姫はこういう。
「とはいえ、私たちが来てるって話はさっきのサバーゲートの対応を見るにまだ入ってないんじゃない?」
「宿屋はサバーン王国側でしたが、検問所はラグラント王国側になります。話は入っているはずです」
そんなファーラに、レーナ姫はいった。
「それなら何で砦で寝なかったの?サバーゲートも宿になっているはずよね」
「サバーン王国側を素通りするのも燻がられると思ったからです」
ファーラの言葉に、レーナ姫は頷いた。
「なるほどね。宿に泊っていたとはいえすんなり検問を通れたはずよ」
「ともかく、そろそろ昼食を取りましょう」
ファーラはそういって駅馬車を留めると、外でパスタを茹で始める。
「こういう旅も、ジェノス城でとりあえず終わりね」
「エリファー、恐らくだけどそう簡単にはいかないわ」
そんなレーナ姫に、エリファーは首をかしげる。
「どうして。まさかいきなりサタゴニア王国との戦いにでもなるの?」
「まあ、流石に色々式典は行われるでしょうが……五日経てばそういうこともありえるわ」




