Chapter1-79
チタニームの宿で一晩を過ごしたレーナ姫達はお金を払って宿を立ち去り、
駅馬車でサバーゲートへと向かっていた。
「そろそろラグラント王国に差し掛かりましょう」
「いよいよ最終目的地ってわけ?」
そんなエリファーに、ファーラはいった。
「向こうでどういわれるかは分かりませんが、王都ジェノスがこの旅の目的地です」
「ラグラント王国の王都ジェノスに行くことは流石に分かっているわ。王国の命令だし」
そう返すエリファーに、ファーラはいった。
「でも、そこまでは結構ありますよ。だからいよいよってわけでもありません」
「少なくとも、コルレーネ王国よりは広いからね」
そういうリリィに、レーナ姫は突っ込んだ。
「あれは国土のほとんどが山だから居住地域がそんな広くないってだけ。それに山小屋経由のルートだったし」
「なるほどね。狭く感じたわけよ」
そんなリリィに、ファーラはいった。
「とはいえ、サバーゲートから次の町を経由すればすぐです」
「サバーゲートの次の町、確か『エトランズ』ね」
そう返すレーナ姫に、ファーラはいった。
「その通りです。では行きましょう、サバーゲートへ!」
そうして彼女たちはサバーゲートにたどり着くと、宿屋に向かった。
「駅馬車も留めましたし、話を聞きましょうか」
「ファーラのいう通りね。一応、ラグラント王国で何か起きて無いか聞いてみないと」
レーナ姫はそうして宿の人に話を持ち掛けた。
「ラグラント王国について何か話がある?」
「サタゴニア王国がクラディスの砦に攻め込んだらしい。といっても、もう兵士の募集はやってない」
そんな宿の人にレーナ姫はこう頷く。
「クラディスの砦はサタゴニア王国からすれば迂回ルートになるわ……何故そこに?」
「大方回り道すればどうにかなると思ったんじゃないかな」
そんなレーナ姫に、リリィはいった。
「まあ、正攻法で攻められないなら別口を探すのはよくあることよ」
「なるほどね。ともかく、そこは遠いから今から行くなんて不可能よ」
レーナ姫の言葉に、ファーラは頷く。
「そうですね。私たちはジェノスに向かいましょう」
「へえ、お客さんはジェノスを目指しているのか。魔族連れは珍しいけど、観光にでも行く気かい?」
そんな宿屋の受付にレーナ姫はいった。
「私たちはシューヴェスト王国からやって来た使者なの」
「対サタゴニア王国の連合を組みに、かい。商売だから、お題は取るけどね」
そんな受付にレーナ姫はいった。
「構わないわ。そのつもりで旅しているもの」




