Chapter1-78
「それもそうね、ファーラ」
レーナ姫……いやレオンハルトはレーナ姫の口調のままこう返した。
「さて、もう寝ましょう」
ファーラがそういったので、四人は眠りに就いた。
もちろん、レオンハルトは変身を解いてから眠りに就いた。
そして翌日。
「おはよう、みんな」
「おはよう、エリファー。早速だが変身しないとな」
レオンハルトは竜のオーブの力でドラゴンプリンセスに変身した。
「ふう、後は朝食が来るのを待つだけよ」
すると、係がやってきた。
「お待たせしました。スクランブルエッグとトマトスープでございます」
係は食事を終えると、下がっていく。
「いただきます」
四人はそういって朝食を食べると、受付に向かいお金を払う。
そして駅馬車に乗り込み、次の町への出発準備をする。
「次はチタニームだっけ?」
「エリファーのいう通りね。チーターの巣が近いとはいうけど、建物の中なら安心よ」
そんなレーナ姫に、リリィはいった。
「どうして?チーターは下手な魔物なら喰われる……ドラゴンでも地上へ降りた所を群れに襲われれば危ういわ」
「本で地上最速の動物と記されるだけはありますからね、猛獣除けの魔法を掛けているんです」
ファーラの答えに、リリィはこう返す。
「それもそうか。ドラゴンがそういう魔法は使わないもの」
「そもそも論になりますが、チーターがドラゴンを倒すケースは伝説レベルです」
ファーラの言葉に、リリィは頷きながらもこういった。
「実際にそういうことはあったのよ。魔物の間では『油断大敵』って教訓を伝えるために伝えられてる物語よ」
「へえ、どんな物語なの?」
そう問いかけるレーナ姫に、リリィはいった。
「ストレートに『チーターに負けたドラゴン』って話よ」
「まあそういう話はシンプルイズベスト……子供が覚えやすいようにするのが大事だもんね」
納得したような表情のレーナ姫に、リリィはこう返す。
「ともかく、この話はこの辺にして。行くわよ、チタニームに」
「馬車を出すのは私の役目ですが、そうですね。行きましょう」
ファーラはそういって、駅馬車を走らせ始めるのだった。
そして昼食を途中で食べ、彼女達はチタニームにたどり着く。
「さて、着きましたよ」
「ありがとう、ファーラ。それにしても、宿場町って感じね」
そんなレーナ姫に、ファーラはこういう。
「まあ、アフィト城とサバーゲートの中間地点ってだけの町ですからね」
「ファーラのいう通りね。駅馬車を留めたんだし、さっさと宿に向かおう」
エリファーがそういうと、四人は宿へ向かうのだった。




