Chapter1-75
昼食を食べ終わった四人はアフィト城へと向かうのだった。
「さて、そろそろアフィト城が見えて来る頃です」
「ファーラのいう通りね。城は目視しやすく、空からは攻められやすい物だし」
そんなレーナ姫に、リリィはいった。
「とはいえ、魔族は飛べるのと飛べないのと両方居るからね。城という形で守りを固めるのは理に適ってる」
「まあ、確かにね。だからこそサタゴニア王国との戦いの間も城が作られたわけだし」
そういうレーナ姫に、エリファーはいった。
「私も聞いたことはあるわ。ともかく、今はアフィト城へと向かうわ」
「そうね、そろそろよ」
そうして駅馬車を走らせると、アフィト城へとたどり着く。
「さて、着いたわよ」
「典型的な城下町……にしては小規模よね、レーナ姫」
そんなエリファーに、ファーラはいった。
「あくまで商人が発達させた町なので、普段から住んでいる人間は宿屋の人間くらいです」
「まあ、狩猟民族の国だしね」
そんなリリィに、レーナ姫はいった。
「ともかく、宿に向かうわ。早く駅馬車を留めないと」
「留めるのは私の役割ですが、確かにアフィト城の城下町を見て回りたいですしね」
そんなファーラに、リリィはいった。
「とはいえ、装備は充実しているわけだし見て回る意味はあるかしら?」
「確かに、武器は揃ってますが……そろそろ武器を研いだ方がいいでしょう」
そしてファーラはこう続ける。
「王家の聖剣は魔力で研磨されるので研磨の必要はありませんが、私たちの剣や槍はそうもいきません」
「そうね。長く使っていたわけだし、そろそろ研磨が必要よ」
エリファーの言葉に、リリィはいった。
「私の剣は魔剣だから王家の聖剣のように研磨不要だけどね」
「そういやドラゴンクリムゾンから精気を吸ったとき、魔剣でブースト掛けていたの?」
そんなエリファーの問いに、リリィは答える。
「そうね。この魔剣は精気の吸収を補助したり、精気を魔力として貯蓄できるの」
「何か人間が持つと魔力を吸い取られそうね」
そんなエリファーに、リリィはいった。
「だからこそ魔剣の力を封じてあったわけよ。サキュバスなら精気をコントロールできるし」
「確かに、私が使っていた時はただの切れ味のいい剣だったしね」
そんなエリファーに、レーナ姫はいった。
「とはいえ、単純な切れ味も抜群だったわ。魔剣と化したことで切れ味も増しているとなると、末恐ろしさを感じるわ」
「まあ、ともかく宿に行きますよ」
ファーラがそういうと、四人はアフィト城城下町の宿屋を目指すのだった。




