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Chapter1-74

 四人がアフィト城を目指していると、ハイオークの群れに遭遇する。


「ハイオークがこんな辺境に……?」


「エリファー、この国はラグラント王国へ侵攻するための拠点になり得るのよ」


 そんなレーナ姫に、エリファーはいった。


「それにしてはアフィト城に向かうような動きじゃないからいってるのよ」


「コルレーネ王国から逃げて来たのか、もしくは野生のハイオークってこと?」


 レーナ姫の問いに、リリィは答えた。


「敗走して来たにしては動きにキレがあるから、野生のハイオークね」


「とはいえ、突っ切るわ。竜巻を纏いながら進んで、それでも寄って来る相手は追撃するだけよ」


 レーナ姫はそういい、王家の聖剣の力で竜巻を発生させる。


 駅馬車は台風の目のような感じであるため影響を受けないが、周囲は物凄い風で煽られる。


 それを見たハイオークは動揺していた。


 ハイオークは言語を解さないが『余程先を急ぐ事情でもあるのか!?』といわんばかりの対応だ。


 言語を解さないハイオークは基本的に棍棒を使って意志疎通を図るので、

それは動きで見て取ることになるのだが。


 大多数のハイオークは四人の邪魔をしないよう迂回するが、中には無鉄砲な個体がいる。


 しかしそれは全体の二割ほどであり、その半数は風に吹き飛ばされてしまっている。


 全体の一割……ハイオークの群れは四十体程なので四体来たわけだが。


「そおい!」


 レーナ姫はドラゴンブレスの要領で突風を繰り出す。


 駅馬車が燃えてしまってはいけないのでただ息を吐いたような感じにしているが、

無理矢理竜巻を突破してきたハイオークを倒すには十分な威力を持だった。


「さて、群れを突破し終えたらご飯にしていいかな?」


「ですね。結界を張るとはいえ、ハイオークの群れが近いのは無視できないことですから」


 ファーラはそういって何事もなかったかのように駅馬車を走らせる。


 そしてハイオークの群れを振り切ると、ファーラはホットドッグを取り出す。


「さて、皆さんで食べましょう。駅馬車も止めて馬に牧草を食べさせましょう」


「それじゃあ、いただきます」


 レーナ姫がそういうと、他の三人も『いただきます』といってホットドッグに口を付ける。


「単純な食べ方だけど、やっぱ美味しいわね」


「レーナ姫のいう通りね。人間だった時とこういうのは変わらないわ」


 そんなリリィに、エリファーは問いかける。


「サキュバスになって好みが変わったりとかあるの?」


「しょっぱくてドロッとした物が美味しく感じやすくなったくらいね」


 リリィは涼しい顔でそういったのだった。

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