Chapter1-73
夕食を待っていた四人の前に、係の人がやってくる。
「水牛のミルクで作ったチーズピザです」
係の人は下がる。ピザにはナスとハムが乗っていた。
「いただきます」
四人がそういうと、エリファーはこういう。
「それにしても水牛のミルクってどうやって採ったの?」
「サバーン王国にある城、アフィト城の城下町で飼っているんです」
そんなファーラの言葉に、リリィは首をかしげる。
「中心都市って訳じゃないの?」
「サバーン王国は狩猟民族の国なので、長の中で一番支持された者が総督になるシステムとなっています」
ファーラの言葉に、リリィは納得いかないようだ。
「それなら何で『王国』って呼ばれているの?」
「総督は対外的に国王として振る舞っているのと、魔族対策として『王国連合』ができたのに合わせたからです」
そんなファーラに、リリィはこう問いただした。
「つまり、周りに合わせて『王国』にしたってこと?」
「まあ、そうなりますね」
ファーラがそう答えている間に、レーナ姫は夕食を完食したようだ。
「ごちそうさまでした。さて、変身を解かせて貰うわ」
レオンハルトの姿に戻った彼はこういう。
「ともあれ、次はそのアフィト城に向かうわけだ。城といっても戦争のために作られたそれの流用だがな」
「それなら何で城塞都市じゃないの?」
そんなリリィの疑問に、レオンハルトはこう答える。
「狩猟民族の国だから、都市を作ることは無かったんだ。要するに、城下町は後付けだってこと」
「つまり、戦争やってた頃は城で物々交換をやってたってこと?」
リリィの更なる問いにもレオンハルトはきちんと答えた。
「有り体にいえばそうなるな。だから城の中庭は他の城より設備が充実している」
話をしている間に他の三人もピザを食べ終えたので、四人は寝る準備をしてから眠りについた。
そして翌日、レオンハルトはドラゴンプリンセスに変身して係を待っていた。
「さて、そろそろ朝食が来るはずだけど」
すると係がやって来てローストビーフとグリーンスープを持って来た。
そういって係は下がると、四人はこういう。
「いただきます」
四人は朝食を食べると『ごちそうさまでした』といってから窓口に行き、お金を払う。
そして駅馬車に乗り込むと、ファーラはこういう。
「それじゃあ行きましょう、アフィト城へ!」
「そうね。気合い入れて行こう!」
レーナ姫がそういうと、エリファーはこういった。
「気合いを入れるに越したことは無いしね」
そんな会話をしている間に、ファーラは四人の乗った駅馬車を発車させるのだった。




