Chapter1-70
「大丈夫、ファーラ?」
「大丈夫です、レーナ姫。流石に、ドラゴンクリムゾンの尻尾を喰らって無傷とはいきませんからね」
そんなファーラに、レーナ姫はいった。
「防具はいいとしても、守備魔法を掛けた方がいいかもしれないわね」
「いいえ、必要ありません。このくらいのダメージならどうということはありません」
ファーラの言葉に、リリィはいった。
「へえ、案外タフなのね」
「メイドは意外と体力仕事なんですよ。掃除や洗濯をしないといけませんからね」
そんなファーラに、レーナ姫はいった。
「ともかく、ドラゴンクリムゾンを抑えないと!」
「そうね、さっきのお返しをしてあげるます!」
ファーラはそういうと、ドラゴンクリムゾンの尻尾に槍を突き立てる。
ドラゴンクリムゾンの尻尾は硬いものの、ファーラはそれを容易く突き抜いたのだ。
「ドラゴンが悶えていますね……今です!」
「これでも喰らって、観念しなさい!」
レーナ姫は自分に近い方の羽を切り裂いた。
「これで引いてくれないかしら?」
「だめね。どうやら、ここを餌場としか思ってないみたい」
リリィはそういって、こう続ける。
「そういや最近精気を吸って無いのよね……これだけ弱っていればドラゴンクリムゾンも抵抗はできないよね?」
「それは……エナジードレイン!?」
リリィはドラゴンの逆鱗に刀を突き立て、そこから精気を吸い取っていた。
サキュバスは健全な本に乗せれないことでしか精気を吸えないと思い込まれているが、
実際のところそうではない。
吸血鬼も他の動物が狩った後に残った血を吸うことがあるように、サキュバスの精気吸収法は多岐にわたる。
メアリーが触れずに魔族から精気を吸い取ったような要領だが、
流石にその手法は低級な魔族か何らかの理由で無防備な相手でないと使えない。
ドラゴンクリムゾンは魔族の中で中堅であるため、いくら傷ついたとはいえまだ元気な状態からそうやって吸うことなど不可能だ。
そこでリリィは剣を突き立て、相手の身体から精気を抜き取っていく手法を使っているのだ。
要はポンプを回る水に水道管をぶち込み、水を抜き取るような物である。
もっともこれも抵抗されて剣を抜かれれば精気を吸い切れないが、
ダメージを追っている上逆鱗に剣を刺されたドラゴンクリムゾンは抵抗できない。
そのまま精気を吸い取られ、すっかり疲労困憊状態となった。
流石にそれで懲りたのか、ドラゴンクリムゾンは去っていった。
といっても精気を吸われたために体力が無いため、町を壊さないようにしつつ歩きでだが。
勢いで早期投稿しました。明日からは通常通りです。日曜日は早い、と期待しないでください




