Chapter1-67
「お待たせしました。トマトスープとベーコンエッグでございます」
受付の人はそういって料理を置いてから去っていった。
「いただきます」
四人はそういって手を合わせる。
「トマトスープ見て思ったんだけど、吸血鬼ってトマトで血を代用できるらしいけどあれは何で?」
「レーナ姫の疑問は最もだけど、それは吸血衝動を抑えるためよ。栄養にできるのは動物の肉よ」
そんなリリィに、ファーラは問いただした。
「つまり、トマトの食感で誤魔化しているってことですか?」
「身も蓋もないいい方をすればそうなるわね。高位の吸血鬼になればそんなことしなくても耐えれるけど」
リリィの言葉に、エリファーは気になる部分があったようだ。
「なんでそういうこと知っているの?」
「お姉さまから聞いたのよ。じゃなきゃ私が知っているわけないわよね?」
そんなリリィに、エリファーはこう返す。
「それもそうね。ごめんなさい」
「ともかく、これを食べたら直ぐにお金を払って駅馬車でサバーン王国へと向かいます」
そんなファーラに、リリィはこう問いかける。
「で、次は駅馬車で寝る予定?」
「サバーン王国は猛獣が多いので、宿で止めた方がいいです」
そんなファーラに、レーナ姫はこう指摘する。
「結界を張っていれば猛獣も寄り付けないんじゃ?」
「サバーン王国で自然に過度の干渉をするのは良くないですからね」
そう返すファーラに、レーナ姫は頷いた。
「なるほど、そういうことね。猛獣が寄らないスペースを勝手に作るのは良くないしね」
「まあ、私達はそういうことを四の五のいっていられないんで猛獣除けはしっかりやってたけどね」
そんなリリィに、レーナ姫はこう問いかける。
「やっぱり魔族でも寝込みを襲われるのは危ないから?」
「そうね。動物が一番無防備になるのは睡眠時間よ」
そういうリリィに、エリファーはこう返す。
「確かに、寝てる間はすぐに行動できないものね」
「そういうことよ。サキュバスが夢魔と呼ばれるのはそういう無防備なところを突くからもあるわね」
リリィの言葉に、レーナ姫はこういう。
「ともかく、食べ終わったし行くわよ。ごちそうさまでした」
レーナ姫がそういうのを皮切りに、三人は『ごちそうさまでした』という。
そして受付でお金を払ってから駅馬車へと乗り込むのだった。
「次はガナーリアです。宿町だけど、国境に近い町だからそれなりに物資は集まります」
「なるほどね。ともかく、次はそこを目指すわよ」
レーナ姫がそういうと、駅馬車は走り出すのだった。




