Chapter1-63
そんなリリィに、レーナ姫は問いかける。
「それをいうということは、私に恨みは無いって認識でいい?」
「お姉さまはサタゴニア王国の幹部になったんだから、戦死することくらい割り切れるわ」
そういうリリィに、レーナ姫は返す。
「案外ドライなのね」
「私は眷属といっても、人間の敵になったつもりはない。お姉さまも興味本位だっただろうけど、そこは合わなかったのよね」
リリィの言葉に、エリファーはこう返す。
「つまり、サタゴニア王国には着こうと思わなかったの?」
「お姉さまが行くなら着いて行く、くらいだしね。だからお姉さまならともかくサタゴニア王国には恩義がないわ」
そういい切るリリィに、レーナ姫はいった。
「恩義、ね。サキュバスも受けた恩を返すっていう思いはあるのね」
「まあ、サキュバスは精気を吸って生きる生き物だからね。恩を返して損はしない、って思えるならそうするの」
リリィがそういうと、エリファーは納得いったようだ。
「つまり、それも生き残るための手段ってこと?」
「そうね。精気を吸うとはいうけど、要はそういう生き物ってことだから」
そう返すリリィに、エリファーは頷いた。
「快楽主義なのも確かだけど、それだけじゃ生き延びれない……分かるわ」
「ともかく、そろそろクロオーネブリッジが見える頃じゃないかしら?」
そんなレーナ姫に、エリファーはこう返す。
「そうね。それにしても、この辺にも平らな地形は無いわね」
「そりゃそうよ。川以外は全て山か谷といっても過言じゃないくらいよ」
そういうレーナ姫にリリィはいった。
「攻めにくい立地ね。魔族が飛べるとはいっても数で押されて終いだし」
「あなたがいうと信憑性あるわ」
そんなレーナ姫に、リリィは返す。
「さっきいったようにサタゴニア王国への恩は無いけど、そこに居たから分かることもあるわ」
「内情はどこまで知っているの?」
そう問いかけるレーナ姫に、リリィは答える。
「魔王……サタンドラゴンが王であることと指揮系統がしっかりしていることくらいね」
「サタンドラゴン……なんだかおっかない名前ね」
そんなレーナ姫に、リリィはこう返す。
「サタンドラゴンといってもサタゴニア王国の王だからそう呼ばれているだけ。別に暴君ではないわ」
「まあ、魔族の国を統べる王だしね。相応の力量はあると見ていいかしら」
レーナ姫の言葉に、リリィは頷いた。
「サタゴニア王国は各個が割とバラバラだけど、それを纏められるのも彼の威厳があってこそだしね」
勢いで早期投降しました。明日からは通常通りの投稿になります。




