Chapter1-62
パスタが茹で上がったので、四人はそれを食べていた。
「ストックを増やして正解でしたね。四人居るのでその分量も増えます」
「ファーラのいう通りだけど、私はサキュバスだし少なめでも……」
そんなリリィに、ファーラはこう返す。
「王家の聖剣といえどエネルギーが無限じゃないですし、何よりそういう理由で量を減らすのもどうかと思いました」
「ありがとう。食べた分は生命維持に使えるから、その分取る精力も少なくなるしね」
そんなリリィに、レーナ姫はいった。
「分かりやすくいえば肉食った分元気が出るってこと?」
「まあ、分かりやすさを重視していうならそうなるわ」
リリィはそういいつつパスタを食べ進める。
そして四人は食事を終えると駅馬車に乗り込む。
「それじゃあ、行きますよ!」
ファーラがそういうと、駅馬車は走り始める。
「クロオーネブリッジまでは結構距離もあります。頑張っていきましょう」
「まあ、気張っていくわ」
エリファーがそういうと、ファーラを除く三人は話を始める。
「それにしても、山がそびえてるね。何の壁もないから落ちる心配が少しあるくらいかしら」
「レーナ姫のいう通りね。でも壁は景観を損ねるっていうし」
そんなエリファーに、リリィはいった。
「まあ、今は馬が滑る心配はしなくていいわ。落ちないように気を付けていれば、大丈夫よ」
「流石に元人間というだけはあって詳しいのね」
そういうエリファーに、リリィはいった。
「サキュバスでも詳しいサキュバスは詳しいわ。人間に擬態するサキュバスは、飛ばずに旅することもあるし」
「なるほどね」
納得のいったようなレーナ姫に、リリィはこう続ける。
「お姉さまは戦闘能力を鍛えていたから、擬態の方はからっきしだったけどね」
「確かに、メアリーはドラゴンに匹敵する力を持っていたわね……」
そんなエリファーに、リリィはいった。
「そういうエリファーはドラゴンスレイヤークラスっていわれてたけど、どうなの?」
「勿論よ。ドラゴンを狩ったこともあるわ」
そういうエリファーに、リリィは剣を出す。
「これはお姉さまから貰った剣だけどあげるわ。代わりに、その剣をちょうだい」
「この剣?ああ、モングラ王国で買った剣ね」
そんなエリファーに、リリィは頷く。
「それから魔力を感じるの。あなたは感じない?」
「私は感じないけど、魔族にしか感じない系の物かもね」
そういいつつ、二人は剣を交換する。
「いい剣ね。あげた剣よりも切れそう」
「やっぱり当たりね。これは人間に使えるよう、力が封印されている」
そういってリリィが力を籠めると、彼女が受け取った剣の力が解放されるのだった。




