Chapter1-61
ファーレセルの山小屋で一晩を過ごしたレーナ姫達は朝食を待っていた。
「お待たせしました、マカロニトマトスープとパンでございます」
運ぶ係はそういって下がった。
「いただきます」
四人がそういうと、リリィはこういった。
「それにしても、あっさり目な朝食ね」
「まあ、今まではガッツリだったから気分転換にはいいかな」
そんなエリファーに、レーナ姫はいった。
「そうね。たまにはこういうのもいいかな」
「私もそう思います」
ファーラがそういうと、リリィはこういった。
「私も別段こってりとした物が食べたいってわけじゃないしね」
「なるほど、サキュバスってこってりした物が好きなイメージがありました」
そんなファーラに、リリィはこう返す。
「私は眷属だし、サキュバスとしては好みが違うと思うわ」
「まあ、元人間なわけだしね」
そんなレーナ姫に、リリィは頷いた。
「そういうわけよ」
そうして食事を終えた三人は、受付でお金を支払い駅馬車へと乗り込んだ。
「さあ、行くわよ。クロオーネブリッジへ」
レーナ姫がそういうと、ファーラは駅馬車を走らせ始める。
「クロオーネブリッジまでは長旅です。頑張っていきましょう」
「ファーラのいう通りね。駅馬車に乗っているとはいっても長い旅にはなるし」
そんなエリファーに、レーナ姫はいった。
「そうね。ところでサキュバスは飛べるって聞いたけどどうなの?」
「飛ぶにはそこまでエネルギーを使わないけど、それに仲間を置いて行っちゃうからね」
そういうリリィに、エリファーはいった。
「そうなのね」
「こういう旅なら、飛ぶよりも一緒の方がいいわ」
リリィの言葉に、レーナ姫はいった。
「私も飛ぼうと思えば飛べるから、私もそう思うわ」
「竜のオーブにサキュバスのオーブ……飛ぶのに不自由はしませんね」
そんなファーラに、レーナ姫は頷いた。
「そうね。だけどこの上を飛ぶって気分にもなれないわ」
「まあ、分かるわ。私は飛べないけど速度には自信あるし」
そんなエリファーに、リリィはいった。
「とはいっても、ここから走るのはキツいわよね」
「確かにね。でも、気持ちが分かるという意味では同じよ」
そんなエリファーに、ファーラはいった。
「まあ、とりあえずこの辺で止めてパスタを食べましょう」
「そういやもうそんな時間ね。いただくわ」
レーナ姫がそういうと、ファーラはパスタを茹で始めるのであった。
「馬は私が見ていますね」
「いつもありがとね、ファーラ」
そんなレーナ姫に、ファーラはいった。
「お安い御用ですよ」




