Chapter1-59
先に進むよういわれたレーナ姫達、それにリリィはこう問いかける。
「先に進むっていうけど、次はどこなの?」
「次はファーレセルの山小屋を経由してクロオーネブリッジに向かうわ」
そんなレーナ姫に、リリィは問いただす。
「となると、目的地はラグラント王国かその向こう?」
「ラグラント王国よ。とりあえずはそこに用があるから」
そう答えたレーナ姫に、リリィはいった。
「なるほどね。サバーン王国に用はあまり無いってことでいい?」
「通るだけだから、そこまで用は無いわ」
レーナ姫の言葉に、リリィはいう。
「そうね。なら、サバーン王国にメアリーの墓でも作ってあげようかしら」
「へえ、魔族にもそういう風習はあるのね」
そんなエリファーに、リリィは頷く。
「死んだ人間の弔いという意味合いであって、女神信仰とは関係ないのよね」
「魔族はあまり女神を信仰してないとは聞きましたが、実際どうですか?」
ファーラの問いにリリィは答える。
「魔族は女神よりも自然に対する信仰が強いのよ」
「なるほど、魔族は自然信仰が主なんですね」
そんなファーラに、エリファーはこういう。
「サバーン王国も自然信仰が強い地域と聞いたことがあるよ」
「女神信仰が主とはいっても、それは人それぞれだからね」
そんなレーナ姫に、リリィはこう返す。
「そういうあなた達は女神信仰なの?」
「まあ、シューヴェスト王国は女神信仰が強いですからね」
そう答えるファーラにリリィはいった。
「まあ、私も気にしないわ」
「お互い信仰は気にしない、ってことでいいかしら」
そんなレーナ姫に、リリィは答える。
「そうですね。とりあえず、今日はフォーンディートの宿で一晩過ごしましょう」
「ファーラのいう通りね。今からいっても日が暮れるわ」
レーナ姫がそういったため、四人はとりあえず宿へと向かう。
そして翌日、四人は駅馬車でファーレセルの山小屋を目指して出発する。
「さて、行くわよ」
「そうね。精気も与えてもらったし、準備はいいわ」
そんなリリィを仲間に加えたレーナ姫達は、途中で昼食を取る。
「サキュバスも食事はすると聞いてるし、ホットドッグ食べる?」
「ありがたくいただくわ、レーナ姫。特に私は眷属化する前の癖で結構食べるし」
そんなリリィに、エリファーはいった。
「フォーンディートで食料をある程度買っておいて良かったわ」
「まあ、人数も増えましたしね。この駅馬車は広いので、スペースで困ることはありませんが」
ファーラはそういってからホットドッグを取り出すのだった。




