Chapter1-57
レーナ姫はいった。
「ファーラが正式な契約だっていうなら信じるけど、どの道メアリーはこの軍団のリーダー。倒すことには変わらないわ」
「正論ね。けど、私達二人に勝てるかしら?」
「お姉さまと私の絆、見せてあげるわ!」
そういって二人はレーナ姫に突っ込んでくる。
「流石に速い……けど!」
「そんな剣圧程度じゃ私は倒せないわよ」
メアリーはレーナ姫の動きを見切ったようだ。
「速さで私と張り合うっていうなら、望むところよ!」
「させないわ、双剣使い!」
メアリーに気を取られていたエリファーはリリィに動きを阻まれる。
だが、そこでファーラがリリィを突く。
「うっ!?」
「隙を狙ったのはいいですが、こっちは三人です」
そんなファーラに、リリィはこういった。
「くっ……まだまだ!」
「流石に一撃で倒せるとは思っていませんよ」
そんなファーラに、エリファーが続く。
「さっきのお返しよ」
エリファーにリリィは切られ、気絶した。
「流石の生命力ね。これでもまだ致命傷じゃないみたい」
「とりあえず、捕虜として捕らえておきましょう」
ファーラはそういって、リリィを捕縛してから治療する。
「愛しい妹を捕虜になんてさせない!」
「いい姉を持ったわね、リリィは。けど、一つ聞いていい?」
そんなレーナ姫に、メアリーはこう返す。
「質問の間に切らないのならね」
「そんな卑怯な真似はしないわ。曲がりなりにも聖剣を持つ者だし」
レーナ姫はそういった後、こう問いただす。
「何であなたは、味方の精気を吸ったの?」
「戦略的に、数ではなく質で攻めるべきだと思ったのよ。それに、私は精気を吸って生きるサキュバスだもの」
そんなメアリーに、レーナ姫は返す。
「確かに、サキュバスに人間の道義は当てはまらない。けど、あなたは軍の隊長としてやるべきでないことをした」
「それが許せないっていうの?確かに、私は彼らの尊厳を踏みにじったかもしれないけど」
メアリーの言葉に、レーナ姫はいう。
「自覚があるなら別にいいわ。サキュバスは快楽主義、そういう行為はあり得ることよ」
「そう。なら、あなたもやらせて貰うわ!」
迫るメアリーを、レーナ姫は切り伏せた。
「だからあなたは話が終わってすぐ攻撃するだろうと見ていたのよ」
「けど、話は終わってる。なら卑怯じゃ……」
王家の聖剣で切られたメアリーは傷が深かった。
「卑怯だといいたいわけじゃないわ。単純に、動きが丸見えっていいたいだけだから」
「違い…無いわ…リリィ、あなたは自由に生きて」
そんなメアリーに、リリィはいった。
「お姉さま!」
「名前は分からないけど、そこのあなたに私の力を込めたオーブを託すわ」
メアリーの言葉に、レーナ姫は返す。
「いいの?私はあなたを切り伏せた身よ」
「これでリリィは私が死んでも一緒に居られる」
メアリーの言葉に、リリィは動揺した。
「お姉さま!?」
「私は隊長として責任を取るわ」
そういって、メアリーは自決した。




