Chapter1-56
包囲戦術を取ろうとする魔物たちに、レーナ姫はいう。
「素直に逃げるような相手ではない。そもそも彼らとは戦争中だから、話はできなさそうね」
「レーナ姫のいう通りですね。あのドラゴンのように話せば分かる相手じゃないなら、命の取り合いにならざるを得ません」
「そうね、ファーラ。ともかく、一人ずつ各個撃破で行こう」
エリファーがそういうと、三人は三手に分かれる。
「包囲されているのに戦力を分散させるとは。血迷ったか、まぬ……」
「兵士が命令に従うのは当然、だけど相手を侮っていい理由にはならないわ」
そういってレーナ姫は魔族の一人(?)を切り伏せる。
「一斉にかか……」
雪崩れ込んでくる敵を、レーナ姫は剣で薙ぎ払う。
剣の届かない距離でも剣圧が敵を襲うため、一回の薙ぎ払いで一個小隊レベルがあっさりと落ちていく。
エリファーはその速度で一気に魔物達を切り裂いていく。
進路を塞ごうが八艘飛びの要領で、目にも止まらないとまでは行かなくても高速で飛び越えていく。
そのため敵はエリファーを補足できずに倒れていく。
ファーラは槍で薙ぎ払う。
槍のリーチは長いため、一回の薙ぎ払いで倒せる魔物の数は普通の剣より多い。
近づこうとする敵は柄の部分で叩き飛ばすため、魔物はファーラにダメージを与えることができない。
「何だこいつら。一人一人がドラゴンスレイヤークラスだというのか!」
「こうなれば隊長に報告……」
そんな彼らは、突如として悶え苦しむ。
勿論、三人は何もしていない。
「これは、精気が抜かれている……?」
するとそこには露出の多い服装に身を包み、これでもかと色気を出す二人の女性がいる。
だが二人が人間ではないことを証明するかのようなパーツ、それは彼女達の特色でもある。
蝙蝠のような羽にヤギの様な爪、そしていかにも悪魔といった風の尻尾。
その二人は、要するにサキュバスなのである。
「味方の精気を吸うなんて、いくらサキュバスでも何を考えているのかしら?」
「味方?まあ、半分は正解よ」
そんなサキュバス二人に、レーナ姫は首をかしげる。
「半分?サキュバスとはいっても、そういうからには理由があるのよね?」
「流石に、いくら快楽主義の私たちでもそういうところで嘘をつく理由は無いわ」
そんなサキュバスの一人が、その言葉に続けてこういう。
「私はサキュバスのメアリー。そして……」
「私は妹のリリィ。お姉さまの付き添いで来たの」
そんなメアリーにレーナ姫はいった。
「まさか、眷属?」
「この子は病気で死ぬくらいならってんでサキュバスになったのよ。嘘だと思うなら私に読心魔法を掛ければいいわ」
そんなメアリーに、ファーラはいった。
「マインドリーディング!……確かに、契約書に乗っ取った正式な眷属契約ね」
今日は早めに投稿しました。明日からは平常に戻ります




