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Chapter1-5

「驚く気持ちは分かりますが。ティアラを付けましょう」


 ファーラはそういってレオンハルトにティアラをかぶせる。


 すると、どこからか声が聞こえる。


「あなたが、私の代わりになってくれる子?」


「そうみたいだな」


 レオンハルトは心の中でそう呟く。


「じゃあ、剣を手に取って」


「ファーラ、剣を」


「了解しました。鏡よ、盟約に従い封じしものを解き放て!」


 ファーラの呪文で、剣が解き放たれるとそれをレオンハルトが手に取る。


「うっ!?」


「王家の聖剣を使う資格がない物はそれを扱えないようになっているのよ」


 そういいつつ、レーナはこういう。


「大丈夫。このままでも死にはしないし、私がロックを外すから」


「ああ、流石に拒絶反応を食らうのは死なないと分かっていてもキツイ」


 王家の聖剣は持つ者が資格無き者である場合、本人の意思に応じて拒絶反応を振り分ける。


 王家の聖剣は魔法で持ち主の元へと戻すことができるし、鍛冶も基本的には必要ないので資格無き者が持つことはあまりない。


 とはいえ式典の時他人に預けることやたまの鍛冶を考慮し、一応資格無き者でも持つこと自体は可能にしてあるのだ。


よってレオンハルトは悪意を持って王家の聖剣を手にしたわけでないため弱めの物を受けているに過ぎない。


 それでも持ち続けるのはあまり良くないと感じたのだ。


「我は現在(いま)剣持ちし者を王家の血を持つものの代理とし、剣に相応しい者として認める」


 レーナ姫がそう唱えると、彼女はこう続ける。


「そして私は剣を預けた今、盟約に従い心をここより解き放たん!」


 そういうや否や、レオンハルトの目の前で光が弾ける。


 彼はレーナ姫が彼女の詠唱により、ティアラから心を解き放ったことを感じ取った。


「レーナ姫はいってしまったか……」


「姫としての振る舞いは私が教えます」


「そういう意味で彼女を惜しんだ訳じゃない。諸行無常だな、と思っただけだ」


 そんなレオンハルトにファーラは問いただす?


「良くは分からないけど、神様の意志ということでしょうか」


「まあ、分かりやすくいえばな」


 諸行無常は仏教の用語なので、この世界では通ずる言葉がない。


 なので、レオンハルトの口からはそのまま『しょぎょうむじょう』といったことになる。


「ともかく、その剣をあなたは使うことができるはずです」


「確かにこの剣は俺に馴染んだが、ここで振り回す訳にもいかない」


「まあ、そうでしょうね。ただ、あなたはすぐにでないといけません」


 そんなファーラにレオンハルトは驚きを隠せないのであった。

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