Chapter1-45
三人がパスタを食べ終えると、駅馬車へと乗り込む。
「さて、次はグレウードで寝泊まりなの?」
「この高地は結構長いですが……下り坂なので何事もなければ明日の夕方には着けるかと思います」
「そうね。グレウードはあくまでも経由地に過ぎないから、早く着けることに越したことはないわ」
そんなレーナ姫に、ファーラはいう。
「まあ、今日はこの辺で休みましょう」
「そうね。結界を張っておくわ」
レーナ姫はそういって変身を解きレオンハルトに戻ると結界を張る。
「ふう。これで盗賊や魔族の類は近づかないだろう」
この手の結界でよくいわれるのは、結界張りながら戦えば無敵じゃないかということだ。
しかし結界はリソースを消費するので、戦いながら張るのは向いていない。
というか結界に敵が入れない、系の結界は結界の外に出たら完全無意味だし。
ならその中から魔法撃てば強くね?といわれるまえに記しておくと、
外からの魔法を弾く結界なんだから中からの魔法も弾かれるだろといい返しておく。
それでも安全なスペースを確保するのにこの上なく重宝される魔法ではあるのだ。
そして翌朝、レオンハルトは再び変身していた。
「やっぱり慣れないわね」
「とかいいつつ女性口調なのね」
そんなエリファーに、レオンハルトはいった。
「まあね。ボロは出すわけに行かないし」
馬車を出す前に、ファーラがこういう。
「ここで朝食も作りましょう。そうですね……魚の干物にトマトソースをかけて食べましょうか」
「合うの?」
そんなレーナ姫に、ファーラはこう返す。
「塩気と酸味が合わさって意外と美味しいんですよ。毎日肉じゃ飽きも来るでしょうし」
「確かにね」
納得したエリファーを他所に、レーナ姫は『そんな食べ方したことないな……』と思ったのだった。
「主食はバケットだし、そっちにトマトソース掛けたら?」
「パンにトマトソースを掛けるのはあまりやりませんね」
そう返すファーラに、エリファーはいう。
「まあ、ここはファーラを信じた方がいいと思う。メイドなんだしさ」
「分かったわ」
そういって、魚の干物のトマトソース掛けをレーナ姫は食べる。
「ファーラのいう通りね。確かに美味しいわ」
作者が実践したわけではないが、南蛮漬けと発想は同じなので魚の干物とトマトソースは恐らく合うだろう。
試して見ていいかもしれないが、万が一合わなかったとしても作者は一切責任は負わないが。
「よね。メイドを疑うなんてらしくないんだから」
「エリファーのいう通りね。疑って悪かったわ」




