Chapter1-43
「とはいってもあれから一週間。流石に腐り出してるのもあるかしら?」
そんなレーナ姫にファーラはこう返す。
「その辺は大丈夫です。作った日が古い順に食べているので、腐らせる心配はありません」
ウインナーやザワークラウト、バケットは昔の技術でも持たせようと思えば一か月くらい持つ。
ファーラが作ってから日が浅い物を選んで荷台に積んでいるため、腐らせる心配はほぼないのである。
そんなファーラに、エリファーはこういう。
「そうなのね。なら、向こう三週間程は心配しなくてもよさそうね」
「シューヴェシティで買ったものもあるので、一か月は心配無用です」
そんなファーラにレーナ姫は感心したような口ぶりで言う。
「中々やるわね……メイドだけはあるかもしれないわ」
「はい。仕事はキッチリこなしてこそですし」
そういって胸を張るファーラは、しっかりと馬車を見ながらホットドッグを食べていた。
「さて、そろそろホットドッグも食べ終えるし……ディーグル高地のどの辺で夜留めるの?」
「そうですね。馬車を留めておけるポイントとなると、この辺の遊牧民がテントを張っていたポイントになりますね」
そんなファーラに、レーナ姫はこう返す。
「それって分かるの?」
「だらかなところにテントは張られるので、なだらかな所を見つければいいんです」
すると、エリファーはこう突っ込む。
「この辺もなだらかそうだけど、テント張っていた痕跡無いわよ」
「ここはテントを張るには狭い空間ですから、痕跡が無くても不思議ではありません」
そんなファーラに、レーナ姫はこう続ける。
「まあ、移動式のテントだもんね。動かすにもスペースが必要だから、この辺りだと狭いってことね」
「そうなります」
エリファーも合点があった、という風にこういう。
「なるほど……じゃあ、そういうポイント見つけたらそこに馬車を留めて寝る感じ?」
「ええ、そのつもりです。レーナ姫は結界をお願いします」
レーナ姫は頷きながらこういう。
「そうね。駅馬車を盗られたんじゃ洒落にならないし」
というわけで三人は馬車を留められそうなポイントを目指すため、まずは馬車に乗り込んでそれを走らせる。
そしてちょうど日が暮れる頃、なだらかなポイントに到着する。
「この辺に馬車を留めておけるような場所が……ありますね、ここに杭を打ちましょう」
そんなファーラに、レーナ姫は頷く。
「そうね。今日の夕食は何にする?」
「ハムとトマトソースのパスタを作ります」




