Chapter1-39
翌日、レオンハルトはドラゴンプリンセスに変身した状態で食事を待つ。
ドラゴンプリンセスの状態でも姫としてそん色ないため、必要な時はこうして変身しているのだ。
ちなみにドラゴンプリンセスの変身維持に必要な力は、ドラゴンオーブが常に供給している。
そのため、時間経過で変身が解けるということはない。
持っている物がドラゴンオーブと王家の聖剣のハイブリッドなのでそうそう魔力切れすることもない。
ちなみにドラゴンオーブ自体は魔力の結晶であるため、この世界に魔力が存在する限り無限に回復できる。
これは王家の聖剣も同様だが、この二つはお互いに必要な魔力が異なるため問題ない。
王家の聖剣は成長によって生じる魔力を、ドラゴンオーブは生命力による過剰魔力を吸収しているのだ。
どちらも周囲の魔力が枯渇しない程度に吸収しているため環境にも優しいのだ。
また相手の生命力や魔法を吸収することもできるため、いざという時はそういう手段を取ることもできるのだ。
なお、王家の聖剣は使用者が魔力を与えることもできる。
騎士であるため魔法の類を使うことはなく魔力の込め方の分からなかったレオンハルトだったが、
ドラゴンオーブを媒介にすることで魔力を与えられるのだ。
あくまでもドラゴンオーブを媒介にして自身の魔力を与えているだけなので、ドラゴンオーブの魔力は消耗しないのも利点だ。
とはいえ、今は王家の聖剣の魔力が充分なのでやらないが。
ちなみに、人間の『魔力』は『魂の力』……分かりやすくいうなら『精神力』となる。
精神力であるが故に魔法を使い過ぎると心が弱くなる……ことまではないが疲れてしまうのである。
騎士が魔法を使うことは無いのはそのためである。
ともかく、食事がやって来る。
「朝食のグラタンとミルクです」
そういって運搬してきた人は下がった。
姫の衣装には違和感を感じたようだが、昨日と違うからだろうと思ったようだ。
「このグラタン、美味しいわね」
「レーナ姫のいう通りだけど、昨日のクリームシチューと似たような理屈よね」
そんなエリファーに、ファーラはこう返す。
「まあ、この土地の特産品ですからね」
ともかく、三人は食事を終えると馬車へと乗り込む。
ドラゴンを諫めたお礼としてただで泊めさせて貰っているので、お金を払う必要はない。
「さて、モングラ王国の道はまだまだこれからです。私たちの旅は、まだ半分も行ってません」
そんなファーラに、エリファーはこう返す。
「近道とかあるの?」
「多少道から逸れてしまいますが……ディーグル高地を突っ切っていきます」




