Chapter1-37
エルゲルトの宿で、三人は食事を待っていた。
「ローストビーフとクリームシチュー、それにバケットです」
そういって運んできた人が下がると、レーナ姫はこういう。
「美味しそうね」
「そうですね。ミルクが特産の場所でクリームシチュー……かなりの味かと思います」
そんなファーラに、エリファーも頷く。
「そうね。それじゃあ」
三人は一斉にこういう。
「いただきます」
クリームシチューに手を付けると、濃厚な味がした。
「流石に特産品を使ったクリームシチューだけはありますね」
そんなファーラに、レーナ姫はこういった。
「そうね。ここに泊まらせて貰った甲斐もあるわ」
「ドラゴンスレイヤーと呼ばれる私だけど、あのドラゴンの真意が分かって良かったわ」
そんなエリファーに、ファーラはこう返す。
「あなたが狩ったドラゴンはそうもいかなかったんです?」
「そうね。何しろ餌を探しに来たドラゴンだから暴れるわ暴れるわ……討伐しろっていわれるだけはあったわ」
エリファーの言葉に、レーナ姫は頷く。
「魔猪ならともかく、ドラゴンが人里に降りて暴れたら……場合によっては村が潰れるからね」
「まあ、サタゴニア王国に近い国だと暴れるドラゴンを追い払うことも日常茶飯事らしいけどね」
エリファーの話に、ファーラはこう続ける。
「とはいえ、ドラゴンを狩る実力があればどこに行っても通用しますね。強力な魔物には間違いありませんから」
「ゴーレムはサタゴニア王国近くにゴロゴロ居るって話だもんね……まあ、魔鏡よ」
そんなレーナ姫に、エリファーは首をかしげる。
「確かにサタゴニア王国近くならゴーレムを見かけやすいだろうけど、それは流石に盛り過ぎじゃないかな?」
「だといいんだけどね。流石に、このメンツでも大量のゴーレムに囲まれるのは気が滅入るわ」
レーナ姫の言葉に、ファーラはこう返す。
「サタゴニア王国に攻め込むならそうもいえないかもしれませんが、現状はラグラント王国が最終目的地ですからね」
「まあ、そうなったら気合いを入れるだけよ」
レーナ姫がそういうと、エリファーは頷く。
「ここで弱気になるわけにはいかないからね」
話をしている間に、三人は料理を食べ進めていたため、すっかり皿は空になっていた。
「ごちそうさまでした」
三人がそういうと、レーナ姫……もといレオンハルトはこういった。
「さて、早速脱がせて貰うわ」
彼が風呂から上がり寝間着に着替えると、真っ先にこういった。
「さて、このオーブ。王家の聖剣に使えないかな?」




