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Chapter1-35

村民の案内で、レーナ姫達三人はドラゴンが居るという場所にたどり着く。


 とはいっても馬車が炎で燃やされずかつ馬車が盗まれそうになったら気づける位置に馬車は置いたため、村民は付いてきていないのだが。


「ここが……」


 すると、ドラゴンが降りてくる。


 ドラゴンは威嚇のつもりなのか、咆哮する。


「グルオオオー!」


 だが、三人は怯まない。


「どういうつもりなのか、確かめさせて貰うわ!」


 レーナ姫は調査のため、ドラゴンの巣になっているだろう場所へと向かわんとする。


 ドラゴンはそんなレーナ姫を真っ先に狙う。


「巣を守ろうとするのは動物の本能……なのかしら?悪いけど!」


 レーナ姫は剣圧でドラゴンを牽制する。


 ドラゴンの固い鱗は王家の聖剣による剣圧でも、牽制となれば貫くことはできない。


 牽制でなければ貫いたということを考えれば充分な威力なのだが、流石に舐めプでドラゴン倒すのは難しいようだ。


「グオアーッ!?」


 ドラゴンは若干ひるむが、炎を吐いてくる。


 ちなみにドラゴンが炎を吐けるのは、頬に炎袋を持っているからだ。


 現実に存在する動物ではありえないことだが、魔族は生存競争もあるためこのような進化をするケースがあっても可笑しくはない。


 人間だって火を得るまでは猛獣に怯えていたんだし、そういう物だと割り切るべきだろう。


「させない!」


 レーナ姫は炎を剣に吸収させると、そこの隙にエリファーがドラゴンに近づく。


「どうする?こいつやるか?」


「まだ駄目よ。でも、巣に近づくまでは!」


 そんなレーナ姫にファーラは頷く。


「あなたは巣にお近づきください。その間の守りは私がやります!」


「任せたわ!」


 そんなレーナ姫に、エリファーはいう。


「私はドラゴンの意識を反らして、ファーラの負担を減らしておく!」


「そっちも頼むわ!」


 レーナ姫はそういった後、走って巣へと急ぐ。


 そこには、卵があった。


 レーナ姫は交戦意志が無いことを示すため剣を捨て、両手を挙げて振った。


 すると、ドラゴンがテレパシーしてくる。


「卵を見て取りやめてくれたのか?」


「テレパシーできるなら最初からそうしてくれてれば良かったのよ」


 そんなレーナ姫に、ドラゴンはこういった。


「人間は強欲だという話だからな。ドラゴンの卵は高値で売れるのだろう?」


「とはいえ、みんな怖がっているわ。一応、あなたが卵を守っていることは伝えるべきよ」


 レーナ姫の言葉に、ドラゴンは頷く。


「済まない、人間よ。そしてありがとう」


 そういうと、ドラゴンは何かを取り出す。


「お礼というのも何だが、私の魔力が宿る宝玉だ。余剰魔力を固めて作った物だから、遠慮はしなくていい」

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