Chapter1-33
翌日、レーナ姫達三人は朝食を待っていた。
「カプレーゼのロースハム添えに、コンソメスープです」
カプレーゼはチーズとトマトを並べるというシンプルだが美味しい料理である。
「いただきます」
三人はこういい、カプレーゼに舌鼓を打つ。
「美味しい。チーズとトマトのハーモニー……流石としかいえないわ」
「『姫様』も大げさね」
エリファーはレーナ姫が本当はレオンハルトだと知っているためか、含みがあるようにいった。
ファーラも知ってはいるが、あくまでも姫様として扱っているのでこうはならない。
「美味しい物に生まれは関係ないんですよ。私もハッシュドポテトとか好きですし」
「そういう物かしら」
そんなエリファーに、レーナ姫はこう返す。
「それに病気してた以上、そこまで脂ぎった料理は食べないわ」
実際病気してると消化も衰えるため、胃袋にはあまり入らなくなる。
医療技術があまり発展してないこの世界であるが、それは経験則で分かっていることである。
「それもそうね」
エリファーもそれには納得したようで、素直に頷いたようだ。
とはいえ、レオンハルトがそこまで考えられることへの驚嘆もあっただろうが。
ともかく三人は食事を終えると馬車に乗り、検問所へと差し掛かる。
とはいっても宿に泊まった人物であれば素性は粗方把握されているため、検問無しでも通り抜けられる。
流石に宿に泊まらずいきなり検問所を通ろうとした場合は検問される。
駅馬車に王家の証があるとはいえ、盗まれた物でないという可能性は否定できないから尚更だ。
とはいえ三人は宿に泊まっているため検問を受けることなくモングラ王国へと入る。
そして砦を抜けると、そこはまだ町だった。
「流石に、この辺は建物が見えますね」
そんなファーラに、エリファーは返す。
「街道とかはないの?」
「流石に、物流のための道がありますね。最も、道のギリギリまで草原ですけどね」
そんなファーラに、レーナ姫はこういった。
「シューヴェスト王国は草原ってほど草は生えて無いからね。石とかそういうのがたまにあるし」
「まさに遊牧民の国、って感じね」
エリファーの言葉に、ファーラは頷きながらもこういった。
「流石にステレオタイプな気もします。とはいえ、確かに典型的なケースですからね」
「まあ、難しいとこよね。そういう所だから遊牧が栄えている、ともいえるし」
そんなレーナ姫にエリファーはこういった。
「で、次はどこ行くの?」
「そうですね。次はエルゲルトで昼食を取り、その先で駅馬車内で就寝する予定です」




