Chapter1-30
「ずっと疑問に思っていたことが解決したわ」
「グレリーオスの洞窟には何度かいってるのよね?」
そう問いただすレーナ姫にエリファーはこう答える。
「流石に、どういう洞窟かまでは分からなかったのよね。騎士だから最低限の教養はあるけど」
「まあ、洞窟がどうやってできるかは地理の問題だからね」
そんなレーナ姫に、エリファーは首を傾げつつもこういう。
「それにしても、あなたが地理に詳しいなんて意外ね」
「まあ、本とか読んだしね」
レーナ姫もといレオンハルトの知識は前世の物もあるため、そういう方面には詳しい。
ただ死んだのが14歳と、日本人にしては若くして死んだためそこまで頭がいいわけでもない。
「そういう物なのね」
エリファーはレオンハルトの言葉を深くは追求しなかったので、そのことを察される心配はないが。
そうこうしているとファーラはこういう。
「さて、この辺で馬に草を食べさせましょう」
「そういやツカードの次はやっぱり国境の町、シューグラインなの?」
エリファーの問いにファーラは答える。
「ツガードから北西に向かえば一日で着きますからね」
「シューヴェスト王国は広いから、シューヴェシティから二日で着く国境町はそこくらいだっけ?」
レーナ姫も確認のために問いかけた。
「その通りですね。なので、嘗てシューグラインには巨大な砦があります」
ファーラの言葉に、そしてとレーナ姫が続ける。
「その砦の検問所は中央に新しく新設し、古い検問所は今や向こう側の名所というわけよ」
「ってことは砦に泊まれるの?」
そんなエリファーに、ファーラはこう返す。
「そうですね。砦以外の宿は商人やこっちで買い物をする遊牧民用の宿になりますから」
「そこが悪いとはいわないけど、王家の人間が安さに特化した宿に泊まるのは威厳に関わるからね」
それを聞いたエリファーは頷きながらいった。
「まあそういう宿に風呂は無いし、部屋も最低限の広さになる。一晩泊まる目的なら充分寛げるけどね」
「そういうことよ。一部屋辺りの広さを狭くすることでスペースを確保し、安く済ませるって手法ね」
これが昔からあった手法なのか、という突っ込みは受け付けない。
「さて、馬に草も食べさせたところだし先に進みますよ」
「分かったわ、ファーラ!」
レーナ姫がそういうと、三人を乗せた馬車は走り出す。
「兎にも角にも、まずはツガードで魔物の討伐報告をしないとね」
「経由地点だじ、エリファーの依頼の報告もあるから尚更ね」




