Chapter1-27
「そういう物なの?」
「この旅はそういう旅なんだ。だからこそ、だよ」
二人が話していると、レオンハルトはレーナ姫としてこういう。
「さて、そろそろご飯の時間ね」
そして、店員がやって来る。
「バジルトマトのパスタに、コンソメスープです。紅茶と一緒にどうぞ」
コンソメスープの具材はクルトンと人参だった。
バジルトマトのパスタにハムが入れられているため、スープの具はシンプルでもいいのだ。
「いただきます」
三人がこういうと、パスタを食べる。
「美味しい!」
「レーナ姫のいう通りね。やっぱこういう料理があると頑張った甲斐があるわ」
そんなエリファーにファーラはこういった。
「同感です。料理がおいしいことに越したことはありませんから」
三人はそういいながら食事を終えると、ファーラはこういう。
「レーナ姫を脱がせるので、見ないで貰えませんか?」
「そうね。私は修行でもしてるわ」
今更かもしれないが、ヨーロッパで風呂に入る文化はあまりないといわれる。
だが長旅となれば身体を休める際風呂に入ることはあるし、何よりも肉体労働を行ったら汗もかくのだ。
それに女性は美容に気を使うこともある。
顔に傷がついても治療魔法で治療は容易(名誉の負傷ということであえて治さない場合もあるが)なので、
女性騎士が美容に気を使っても可笑しいことではないのだ。
エリファーも引き締まった身体の女性には一定の需要があるから女を捨てているわけではない、というスタンスだし。
レオンハルトは男性だが、女性を演じるわけだし。
ファーラはメイドなので当然のよう美容に気を使うのはもはや当然である。
ともかく、風呂に入った三人は寝るまでにまだ時間があるので話をしていた。
「レオンハルトは私のこと、どう思っているの?」
「頼もしい騎士だと思う」
ストレートにそういうレオンハルトを見て、エリファーはこう返す。
「女ながら、とかいわないのは嬉しいかな」
この世界においては男尊女卑の傾向が若干強い。
レディーファーストという概念もあるので一概に女性が虐げられているということはないものの、
それでも女性は男性より低く見られがちなのだ。
「騎士同士だしな。腕前があれば性別は関係ないだろう」
「そういう物なのかしら?」
レオンハルトは元が日本人なのを差し引けばそこまでリベラルでもない。
日本人は総じて保守的といわれることもあるくらいだし。
それに前世の記憶があるといってもこの世界で教育を受けたことの影響は拭えないのだ。




