Chapter1-26
そして、レーナ姫はファーラにこういう。
「次はグレリーオスの洞窟に向かうつもりだ。いや、もうこっちの口調に戻すべきかしら」
結界を解いたため、話は周囲からも聞こえるようになった。
「グレリーオスの洞窟……確か太古の昔に住居として使われていた場所ですね」
そんなファーラに、エリファーは返す。
「モングラ王国へのルートでもあるわよね?」
「若干寄り道にはなりますけどね」
そんなファーラに、レーナ姫は返す。
「でも、通り道の一つではあるわよね」
「そうですね。水が湧き出ているので、水の補給ポイントとして使われることがあります」
そんなファーラに、エリファーは頷く。
「その通りね。だからこそ魔物が住み着いたわけでもあるけど」
「ところで、いい槍は手に入った?」
レーナ姫の問いに、ファーラは答える。
「今の槍よりいい槍はレートが釣り合わずに手が届かなかったので、打ち直して貰いました」
「そんなにいい槍なの?」
そんなレーナ姫にファーラは頷きながらいった。
「王から渡された槍ですからね。そこそこ上質な槍です」
「そういやファーラは槍使いだったわね。私は双剣使いだから、戦ったら苦戦するかもね」
そんなエリファーにレーナ姫はこういう。
「ドラゴンスレイヤーのエリファーに勝てる相手は、少なくともシューヴェスト王国には居ないと思うわ」
「王家の聖剣を使えるあなたには負けるわ」
レーナ姫はそんなエリファーにこう返す。
「自分自身も強くならないとこの剣は使いこなせない。だから私も精進しないといけないわ」
姫がそんなこといったことに酒場の面々は少しどよめくが、王家の聖剣を持って旅してることを考えてすぐ静まった。
「ともかく、どこに集まればいいの?」
「そうですね。この町で二番目に大きい宿、そこの入り口で落ち合いましょう」
そんなファーラに、エリファーは待ったをかける。
「ちょうど私もそこに泊まろうと思っていたのよ。一番目に大きい宿は高いからね」
「同室をしたいってことですか?」
ファーラの問いに、エリファーは頷きつつこう返す。
「そうね。レーナ姫とも話をしたいことがあるし」
「とのことです。よろしいでしょうか?」
ファーラの問いかけに、レーナ姫もといレオンハルトは頷く。
「分かったわ。一緒にそこまで行くわよ!」
そうして、三人は件の宿へと向かう。
そして、そこでエリファーはレオンハルトにこう問いかける。
「正直、後悔してないの?」
「後悔なんてしてる暇があったら、その分前に進むよ」




