Chapter1-25
レーナ姫がエリファーを待っていると、彼女は現れた。
「あなたは……?」
「レーナ・クロニア・シューヴェスト。多分初めてかしら」
だが、エリファーはこう返す。
「いいえ、あなたと会うのは初めてじゃない。そうよね?」
「そうだったかしら」
そんなエリファーはこう続ける。
「ここの二階に来てくれる?」
レーナ姫もといレオンハルトはその言葉に従い二階へと向かう。
「レーナ姫が死後に剣を継承するって話は聞かされていたけど、あなたがそうだったのね」
「知ってたのか」
そんなレオンハルトにエリファーはこう返す。
勿論、結界魔法を張り周囲へ話が漏れないようにしている。
「極秘事項なことはあなたも知ってるよね?私は、信頼も厚かったから教えられていたけど」
「なるほど。でも、俺がやることになったことをどう思う?」
レオンハルトの疑問にエリファーは答える。
「そうね。あなたはお姫様に似てたし、選ばれるならあなただとは思ってた」
「……俺はこの容姿を気にしているんだけどな」
「分かってるって。でも、これとそれは別問題よね?」
そんなファーラにレオンハルトは頷きつつもこう返す。
「それで、一緒に来てはくれないのか?」
「私が居なかったらこの国の守りはどうするのか少し不安だけど、他にも騎士は居るんだから安心はできるわ」
だけど、とエリファーは続ける。
「でも一つだけ心残りがあるのよね」
「心残り、か。それは何なんだ?」
「どうもシューヴェシティに魔物が近づいているみたいで、その元凶がこの近くに居るらしいの」
そんなエリファーに、レオンハルトはこう返す。
「その元凶はお前でも手こずる相手なのか?」
「場所が分からなかったのよ。ようやく割り出したとこだから、早朝にはその場所へ向かうわ」
「その場所はどこなんだ?」
レオンハルトの問いに、エリファーはこう返す。
「グレリーオスの洞窟ね」
「グレリーオスの洞窟なら、ちょうどモングラ王国へ向かう通り道だな」
そんなレオンハルトに、エリファーはこう返す。
「まさか、ついでに行くつもりなの?」
「ファーラも分かってくれるだろう」
すると、二階からファーラが入って来るのが見て取れる。
「と、結界に彼女も入れないとな」
レオンハルトは結界からシグナルを出す。
やって来たファーラは、まずレオンハルトにこういう。
「エリファーはあなたの事情を見抜きましたね。予想通りです」
「そのことはいってくれればいいのに。正直心臓に悪かったぞ」
「レーナ姫が後を託したことは知っていても、託された相手を見抜けるかは分かりませんでしたからね」




