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Chapter1-23

 トロールの群れに遭遇し、それに狙われたため止む無く王家の聖剣を構えるレーナ姫。


「力を貸して、エクスカリバー!」


 そういいつつ、レーナ姫は剣圧をトロールに放つ。


 剣圧が数体のトロールを掠め、トロールは思わずひるむ。


 だが、それでもかまわずトロールは突っ込んでくる。


「まだやるっていうなら!」


 レーナ姫は剣圧を本気で当てる。


 一体のトロールがそれで倒れるが、なおもトロールの勢いは止まらない。


「ファーラ!埒が明かないわ、先に進んで!」


「分かりました!」


 ファーラは止めていた馬車を先へと進ませる。


 それは必然的にトロールの群れを突っ込む形になる。


「風よ、吹き荒れて!トルネードストリーム!」


 風は馬車を中心に吹き荒れる。


 馬車は台風の目のような状態になっているため、風の影響を全く受けない。


 馬車から離れるトロールも居たが、なおも突っ込んでくるトロールも居た。


「させないわ!」


 レーナ姫は走りながら後方に剣を振るう。


 剣圧は突っ込むトロールに当たり、そのトロールはすかさず倒れる。


「流石にこれで分かったかしら?」


 トロールも敵わないと悟ったのか、本来のルートへと戻って来る。


 しかし一部のトロールはなおも突っ込んでくる。


「風よ、止まれ!」


 魔力を節約するため風を解除したレーナ姫は、突っ込んでくるトロールに向かいそれを切る。


「仲間を追わせないための足止めだったとしても、馬車をやらせるわけにはいかないからね」


 トロールの群れを一瞥すると、レーナ姫は馬車へと飛び乗った。


「終わりましたか?」


「ええ、初めてエクスカリバーの力で魔法を使ったわ」


「まあ、馬車で敵陣に突っ込むなら妥当な判断です」


 そんなファーラに、レーナ姫はこう返す。


「最初から大人しく逃げててくれれば、あんなに死ななかっただろうけどね」


「先に昼食をお取りしますか?お腹すいているでしょうし」


「そうね。いただくわ」


 レーナ姫は馬車に揺られながら、ホットドッグを食べる。


 いくら身体能力が強化されているとはいえ運動をしたのでその分お腹も減るのだ。


「二個食べます?」


「一個でいいわ。朝飯前とはいえないけど……そう、昼飯前としてはいい運動になったかしら」


 朝飯前という言葉は完全に日本の慣用句だが、まあ似たような言葉があると思ってくれればいい。


「そうですか。もしもう一個食べたくなったら遠慮しないでくださいね」


「勿論よ。幾ら食料が大事だからといっても、腹が減ってちゃどうしようもないわ」


 流石に腹が減っては戦はできぬ、に近い慣用句は無いのであった。

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