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Chapter1-22

「モングラ王国の次はシューヴェスト王国と同規模の国、コルレーネ王国です」


「コルレーネ王国は山岳地帯が多いって話だっけ?」


「勿論平地もありますし、トンネルもあるというのは覚えてますでしょうか」


「当たり前よ」


 そういうレオンハルトはコルレーネ王国がスイスみたいだと思った。


 スイスもまた山に囲まれた国であり、だからこそ永世中立国で居られるのだから。


 ちなみに日本も山だらけだが、日本の場合は島国なので若干勝手が違う。


 なので、地続きであるコルレーネ王国が一番近いのはスイスだろう。


 コルレーネ王国はスイスと違い、別に永世中立国というわけではないが。


「そしてその次が狩猟民族の国、サバーン王国だっけ?」


「そうですね。勿論モングラ王国同様、人が集まるところには宿もあるわ」


「狩りで生きているから貨幣経済はあまり発展してないらしいけどね」


 そんなレーナ姫にファーラはこう返す。


「宿で一晩泊まる時や医者に診てもらうとき、動物の牙をお金に換えるくらいですからね」


「狩猟道具も現地調達が基本っていう話だからね。どうしてもって時は買うみたいだけど」


「そんなわけでお金が通用しない訳じゃないし、パンや漬物も宿に泊まる客用として売ってたりはするようです」


 そんなファーラに、レーナ姫はこう返す。


「必要は発明の母とはいうけど、必要じゃない物はあまり流通しないってことね」


「そうなりますね」


 話と食事を終えた二人は『ご馳走様』といった後、ファーラの代金のみを払い馬車へと乗り込む。


「さて、いよいよシューヴェシティね」


「ええ。まだまだ先は長そうです」


 彼らが道を進んでいると、そこにトロールの群れが現れる。


「野生の魔族!どこに行くつもりなのかしら……」


「彼らは移動中みたいですね。手を出すのは得策じゃありません」


 野生の魔族も、獲物が少ない場合は場所を移すことがよくある。


 こういう時は興奮させないよう放置しておいた方がいいのだ。


 しかし、である。


「こっちに向かってきた!?」


「どうやら、ちょうど獲物を求めて移動中だったようです」


 このように、旅行中の客を襲ってくることもある。


 もっとも逃げた場合は深追いすることがないため馬車でも逃げ切れるため、被害が出ることは殆ど無い。


 だがレーナ姫達は先を急いでいた。


「悪いけど、逃げるわけにはいかないからね。大人しくなってもらうわ」


 そういって、レーナ姫は王家の聖剣を構えるのだった。

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