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Chapter1-21

 二人は眠りにつき、翌朝のことである。


「さて、そろそろ朝食が来る頃ね」


 レオンハルトはレーナ姫としての衣服に着替え、朝食を待っていた。


「朝採れ野菜のサラダとベーコンエッグ、そしてコーンスープです」


 サラダはキャベツにトマト、それに玉ねぎというシンプルな物だった。


 どれも保存の効きやすい野菜として重宝されている物でもある。


 それに飲み物としてブドウジュースが付いてきていた。


「いただきます」


 二人は早速朝食を食べ始める。


「そういやここはワインも有名なんだっけ?」


「姫様は興味ないんですか?」


「私が酒飲めると思っているの?」


 この世界では14歳になれば酒を飲んでいいことになっているがレーナ姫は病弱だったし、

レオンハルトは酒を飲もうと思ったことが無かった。


 幸い酒を飲むと身体が鈍るということで、騎士は全員酒を飲むわけでもない。


 中世において新鮮な水は大変貴重で酒の方が良いということも、この世界では水の保存がしっかりしているためそうでもない。


 レーナ姫達の場合はシューヴェシティまで四日の旅であることもあり、水は水筒に井戸水を入れることで補充していた。


 だが、長旅の場合は水を保存するために魔法を掛けた容器を用いるのが普通なのだ。


 ともあれ、レオンハルトが酒を飲まないことはファーラにも伝わったのでこう返す。


「それもそうでしたね」


「分かればいいのよ」


 そういった後、レーナ姫はこう続ける。


「まあ、そのおかげで美味しいブドウジュースが飲めるわけだし。正直、二日ぶっ続けでオレンジジュースだったからね」


「オレンジは冷凍保存に適していますからね」


 冷凍みかんにして食されることを鑑みれば、みかんは凍らせてもあまり影響を受けない果物といえるだろう。


 少なくとも冷凍りんごや冷凍ブドウは殆ど聞かないし。


「冷凍室のある場所なら水よりもいい、まであるからね」


 冷凍室は自然現象を生かして作るため、水を保存する魔法を掛けるよりもやりやすい。


 レオンハルトがこの旅で廻ってきた村町は水道もしっかり完備されていたり、そもそも水源に近かったのであまり関係ないが。


 そのどちらも当てはまらない場所であれば、オレンジジュースよりも新鮮な水の方が安かったりするのだ。


「そういやシューヴェシティから先はどうするんだっけ?」


「ラグラント王国までは長旅なので、まずは次の国を振り返りましょう」


 そう前置きした上でファーラはこう続ける。


「私たちはまず遊牧民の国、モングラ王国を通ります。遊牧民の国といっても、人が集まる場所には宿もありますからね」


「つまり、モングラ王国が第二の目的地ってところね」

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