Chapter1-15
というわけで、レーナ姫達は部屋に案内される。
「ふう。ようやく一息付けるわ」
「風呂は狭いですけどね」
風呂は所謂五右衛門風呂になっており、狭めである。
「二人で入る分には問題ないわ。身体を密着させることにはなるけどね」
「意外と割り切りが早いんですね」
「まあ、でないとこんなことはやってられないわ」
そんなレオンハルトにファーラはこう返す。
「姫の姿である以上、致し方ないと思いますが?」
「まあね。と、そろそろ食事が来る時間よ」
食事はハムが乗り、そこにチーズとトマトソースがかかったピザであった。
「この辺は宿場町だからね。新鮮な食材は少ないってことね」
「でしょうね。まあ、美味しさは保証できるはずです」
そして二人はこういう。
「いただきます」
食事を始める前に二人は手をふきんで拭き、ピザに手を付ける。
「美味しいわ」
「ですね。オーブン焼きでもここまでできる物なんですね」
オーブンといっても当然ながら機械ではなく、ヨーロッパの古家にあるような炭火のオーブンだ。
「まあ、直火には変わりないからね」
「それもそうですね」
そして、二人はさらにピザを食べ進める。
「このチーズも上質ね」
「まあ、値段相応でしょう」
割とドライなファーラに、レーナ姫はこう返す。
「ピザにそんな高いチーズは必要ないわ。チーズが他の具材を殺しちゃうから」
「そうなんですか?」
ファーラの問いにレーナ姫はこう答える。
「そりゃ、ピザくらい作ったことがあるわ」
「それもそうですね」
ファーラは表面的にそういいつつも、驚きを隠しきれなかったようだ。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったファーラは、結界を張りメイクを落とすレオンハルトにこう問いただす。
「ピザを本当に作ったんですか?」
「そりゃな。騎士も非番な時があるから、そういう時は気晴らしも兼ねて料理を作るんだ」
「そうでしたか。でも、自信があるんですか?」
「少なくとも披露する機会はないだろうな。旅先でピザを作れるような場所はたいてい他の奴が作るだろうし」
「姫としてピザを焼くことは無いと?」
そんなファーラの問いに、レオンハルトはこう答える。
「ラグラント王国で作ることにならない限りはな。ただ、そういう場合ぶっつけ本番かもしれんが」
「その時は大丈夫なんですか?」
「そうそう腕は鈍らないさ。つい最近作ったばっかだし」
そんなレオンハルトにファーラはこう返す。
「まあ、お風呂に入りましょう」
「そうだな。明日のためにも、しっかり休もう」




