Chapter1-13
「獲物を前に舌なめずり、三流のやることね。まあ、あなた達は三流どころかそれ以下だけど」
レオンハルトは王家の聖剣が無くともオークに負けることはまずない。
彼の実力はシューヴェスト王国の騎士の中でも上位に入るため、ゴーレムならギリギリ倒せるという話だ。
実際のところ、ゴーレムを倒そうと思ったことは当の本人にないためあくまで噂だが。
それでも、レオンハルトも自分の力にはそれなりの自信があった。
とはいったものの、騎士として旅をしているならまだしも今の彼はレーナ姫の代役なのだ。
だから時間をかけないことを優先し、王家の聖剣は躊躇なく使うのである。
「さて。行くわよ!」
「やっちまえ!」
「流石に、魔猪のように一瞬とは行かなそうね。ていっ!」
まずレーナ姫はオークを軽く切り払う。その剣圧だけで、周囲のオークも倒れていく。
「なっ、こいつ手強い!?」
「ふん。だが強い騎士ほどやりがいがある!」
「やりがい、ね。私は姫だし、やらせるつもりなんてないわ」
そういってレーナ姫はオークをけ飛ばす。け飛ばしたオークは別のオークに当たり、そのオークも倒れる。
「くっ、殺される!無視してシューヴェシティに向かう!」
「させないわ!」
そういってレーナ姫はオークの退路に剣圧を放つ。逃げていたオークは瞬く間に吹き飛んだ。
「こうなったらせめて仲間をやってやる。メイドを狙うぞ!」
だか、ファーラは槍を取り出していた。
「……危ないじゃないですか」
「危機感を感じるとはな」
だが、ファーラは涼しい顔でこういった。
「私ではなく、馬が巻き込まれるところでしたよ」
「な……」
オークはファーラの一突きで絶命する。
「何だこの二人は。強い、強すぎる。撤退だ!」
「悪いけど。あなた達は人間の作物を荒らすどころか、罪なき女性を犯してきた。それは許されないわ」
そういいながら、逃げるオークにまでレーナ姫は攻撃しようとする。
「待て、待ってくれ!俺たちは女性をまだ犯してはいない!」
「まだってことはこれから犯そうとしていた、ということよね。なら、有罪よ!」
「理不尽だー!」
そういいながら、オークは襲い掛かって来る。
「そういって襲ってくるんじゃなく、逃げるんだったら見逃してあげたのに」
襲ってくるオークを侮蔑しつつ、レーナ姫はオークを切り裂いていく。
大半をやられたオークは戦意喪失し、武器を放棄した。
「流石に、武器を捨てた相手に攻撃するほど私は鬼じゃない。好きに生きなさい」
レーナ姫はそういい、ファーラの待つ馬車へと乗り込むのだった。




