Chapter1-12
宿に戻ったレーナ姫達は、そこで朝食を食べることになる。
メニューはマカロニグラタンとオレンジジュースであるため非常にシンプルだが、朝食としてはちょうどいい物だった。
「いただきます」
グラタンの味はかなりの物で、レーナ姫は勿論ファーラも満足したようだ。
「さてと、荷物を纏めて次の町に行くわよ」
「そうしましょう」
二人はそういって馬車へと乗り込む。
料金は必要ないということになったため、二人はお金を払わず先に行く。
「で、次の宿泊先は?」
「次はウルカーヌです。宿場町ですね」
「シューヴェシティに行くとした時の最短ルートだしね」
そんな二人は、馬車の中で食事を取る。
二人は荷物の中にあったフランスパンに、ソーセージとザワークラウトを挟んでホットドッグにして食べていた。
ファーラが馬の面倒を見ていると、そこにオークがやってくる。
「オークがこんなところにまで……」
レーナ姫はそういい、動きを観察する。
オークは弱くないが、集団戦をゴブリンよりはしてくるため侮れない敵だ。
ゴブリンは確かに徒党を組むのだが、どちらかというと数でのゴリ押しなので戦法は無いに等しい。
それこそ、村に作物目当てでやって来た魔猪とそう変わらないのだ。
むしろゴブリンよりも魔猪の方がスピードがあるので侮れないくらいであり、そういう意味で考えるとゴブリンは一番弱いのである。
それでも数という面では一番厄介なのもゴブリンではあるのだが。
ともかく、どうやらオークはシューヴェシティに向かおうとしていたようだ。
サタゴニアから来たとすれば大分迂回して来たことになるので、恐らくサタゴニアに同調した別方向のオークだろう。
「シューヴェシティには行かせないわ。万一でも駅馬車を襲わせる訳にはいかない」
シューヴェシティには騎士が居る。無用な戦闘は避け、先に進んだ方がいいのかもしれない。
それでも、レーナ姫は万一にも馬車が襲われたら不味いと考えてオークへと向き合う。
「エクスカリバー!」
王家の聖剣……エクスカリバーはまだ輝いていた。
王家の聖剣といえども無尽蔵に魔力があるわけではない。
周囲の余剰魔力で魔力を回復させることや、魔力を吸い取ることはできるのだが。
とはいえ朝にやったのは剣圧を放った程度なので、そのくらいでは殆ど魔力も消費しないのだ。
剣を構えるレーナ姫を見て、オークはこういう。
「女二人がこんなところで……」
「グヒヒ……屈服させてやりたいな。王家の人間だってならさぞかし楽しめるだろう」




