Chapter1-11
筋トレといっても器具がないため腕立て伏せやスクワットといった行為だが、
ともかく筋トレを終えた彼はもう一度風呂に入った後歯を磨いて眠った。
そして翌日、早速着替えたレオナルドはレーナ姫としてこんな騒ぎを聞く。
「大変だ。魔猪が現れたんだ!」
「魔猪!この辺で良くでるの?」
それにはファーラが答える。
「年に一度だって情報でしたが……今日がその日だったのでしょうか」
「ところで、この剣って何ていうの?」
レーナ姫の問いにファーラはこう返す。
「王家の聖剣としか伝わってませんし、何だったらいまここで名づけます?」
「そうね。なら……エクスカリバーで!」
そういってレーナ姫は王家の聖剣改めエクスカリバーを構えて表に出る。
そこには魔猪が数匹存在した。
「面倒ね。これでも食らいなさい!」
名付けた名前的にビームを出したいレーナ姫だったが、何かシャレになりそうではないため自重し剣圧を放つ。
「ガルウッ!?」
魔猪は一匹しか倒れなかった。
「一匹だけとは……外したんですか?」
「わざと一匹だけに当てたのよ。サタゴニアの尖兵ってわけでもないんだし、大人しくするだけでいいから」
実際、魔猪は恐れをなしたのかそそくさと逃げ去っていく。
「なるほど、そこまで考えていたんですね」
「一匹は村のために仕留めといたわ。貴重な肉になりそうだし」
そういうレーナ姫に村民はこういう。
「何もお礼はできませんが……」
「それならファーラの分をこの猪で払えないかしら?」
シビアな振る舞いをしたように見えたレーナ姫を見て、ファーラはこういう。
「猪の方が私の宿泊代より高いですよ。何せ、十数人分の食料になりますから」
「まあ、良ければ耳寄りな情報か何かないかな」
レーナ姫の態度を見たファーラは、彼女がお礼を少なめにすることで恩を売ったことに気づく。
「そうですね。今シューヴェシティにはドラゴンスレイヤーの異名を持つ騎士、エリファーが滞在していると聞きます」
「エリファーが?彼女はいつまで滞在する予定なの?」
「ちょうどオフの時期なので……今から行けば寄り道しても会えると思いますよ」
そんな村民に、レーナ姫はこういった。
「耳寄りな情報ありがとう」
部屋に戻ったファーラはレーナ姫にこういう。
「確かに今はまだ荷物も重いですし、物よりも情報の方がありがたいかもしれませんね」
「そうね。それにお礼のためにああいうことをしたって思われるのは何か嫌なのよ」
「気持ちは分かりますが、あなたは思ったよりもお人好しみたいですね」




