Chapter1-1
レオンハルト・シュナウザー。転生する前の名は神蔵 玲緒奈。
彼は生前と変わらない中性的な容姿に悩んでいた。
まずは彼が異世界転生することになった経緯だが、それは幼馴染を庇ってトラックに轢かれたというベタな物である。
あんまりにもベタ過ぎてその経緯を択一書き表すのも馬鹿馬鹿しいし、読者も『またそれか』と思うだろう。
とはいえ日本の交通事故件数は割と多いので、トラックに轢かれて死ぬことも珍しくはないのだろう。多分。
ともかく、そんな彼は女神にこういわれた。
「あなたは死んでしまいました」
「女神様なのか……?」
玲緒奈の問いに女神は答える。
「私はこの周囲の世界の摂理を司るシステムです。それを『神』と呼ぶならそうなのでしょう」
「世界の摂理って神様っぽいな……」
「私の役割は、あなたのように命を落とした意志あるものを導くことでもあるのです」
そんな『女神』に玲緒奈は問いかける。
「要するに死も司っているのか」
「私が司れないのは心くらいです。その気になれば運命だって決めることもできます」
「やってないってことか?」
玲緒奈が問い返すと女神は頷きながらこういう。
「意志あるものに決められた『運命』なんて退屈なだけでしょう。まあ、どうにもいかなくなった時はやりますが」
「話の分からない神様じゃなさそうだな」
「私は公平であることを義務付けられています。しかし私から見ても、あなたの死に際の行為は称賛に値します」
そんな女神に玲緒奈はこう返す。
「幼馴染だったからってだけかもしれないのにか?」
「まあ、その可能性も無くはないです。なので、記憶を持ったままの転生にとどまります」
「ちょっと待った。生き返らせるってことはできないのか?」
そんな玲緒奈を女神はこう戒める。
「それは摂理に反します。いくらあなたの頼みでも、やるわけにはいきません」
「それじゃあ中世ファンタジーの世界がいいな。でも衛生観念とか言葉の問題とか心配だな……」
「言葉は自ずと理解できます。衛生観念については、できるだけ現代に近い世界を選択します」
そんな女神に、玲緒奈はいった。
「至れり尽くせりだな。これで生き返らせてくれたなら……」
「愚痴る気持ちは分かりますが、そろそろ次に取り掛からないといけませんので」
そして時は流れ、今に至る。




