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狐少女の日常  作者: 樹 泉
二章 ユグドラシル学園一年生編
32/69

武芸大会 本戦

風邪は治りませんでしたが少しは良くなったので投稿します。


 ついにやって来た武芸大会本戦。

 各国から様々な人間がユグドラシル学園に集っていた。

 そんな中ミズハ達はというと武道館に集い開幕の時を待っていた。

 開会式が執り行われ、まずは一年生個人戦に出場する生徒達がリングの左右に待機し始めた。

 九つあるリングの内右側中央で武器部門の試合を、左側中央で魔法部門の試合が予定されている。

 各地から訪れた人物達はVIPを中央に各自観たい試合の近くに陣取った。


《レディースアーンドジェントルメーン! いよいよ武芸大会本戦がやってまいりました! まずは今年入学を果たした一年生個人部門の試合を開始したいと思います!》


 武芸委員会の放送係りの生徒が魔道具で声を拡散させる。

 いよいよ武芸大会が始まると熱い歓声が上がった。


《さあさあ、トーナメントの発表です》


 そう言って空間に映し出されたのは武芸大会のトーナメント表だ。右側に武器部門、左側に魔法部門に参加する生徒の名前が映し出されている。

 ミズハとナノハはトーナメント表を見上げると自分の相手を確認して行く。ミズハとナノハがぶつかるのは準決勝。一人あぶれているケニスがシードになっている。


《さあ! 一戦目開始してみましょう》


 放送の言葉を合図に一試合目の生徒がリングに登って行く。

 魔法部門で最初の試合に参加するのはナノハだ。そしてもう一人の生徒もリングに上がった。


「第一試合開始!」


 リングに待機していた武芸委員会の生徒の号令で試合が始まった。


「【樹よ】」


 ナノハの短縮詠唱により木の根がリングの石畳から生え出しもう一方の生徒に襲いかかる。


「【火よ 我が意思と魔力を糧に……】うわー!」


 もう一方の生徒は呪文が間に合わずナノハの魔法を受けてしまった。

 1メートル2メートルと飛ばされリングの端に着いた所で何とか止まったが、ナノハの猛追によってリングの端から外に落ちてしまった。


「場外! 勝者ナノハ選手!」


 ナノハはリングから降りるとミズハに向かってVサインを送った。


 生徒達の白熱した試合は続きとうとうミズハの試合の順番がやって来た。

 ミズハがリングに上がり距離を取ると武芸委員会の生徒の声が上がる。


「第四試合開始!」


 開始の合図と共にミズハの回りに水の玉が現れると、対峙している生徒に向かって物凄い速さで飛んでいく。

 ドスッ! っと水がぶつかったにしては低重音が響き、ミズハの対戦相手は呆気なく気絶した。


「気絶! 勝者ミズハ選手!」


 場外で気絶している生徒に武芸委員会の生徒が担架を持ち駆けよっている。


《早い! 早すぎる勝利です! 今年の一年生はどうなっているのか!?》


 放送を担当している武芸委員会の生徒が興奮気味に喋っている。


 そして第五試合が終わり魔法部門では一回戦が終了した。

 第六試合。つまり二回戦が始まりナノハがリングに立つと大きな声援が起きた。

 一回戦でのナノハの試合を見て観客はナノハの力の一部を知った。その為の声援で、中にはナノハを青田買いしようと教師に繋ぎを取ろうとする者もいる。

 そんなナノハは二回戦も余裕を持って勝利し、リングを降りた。

 次の第七試合にはミズハが登場し、ナノハ以上の歓声が上がった。

 なぜならミズハが詠唱破棄を使ったからだ。短縮詠唱を使うナノハも勿論凄いのだが、短縮詠唱と詠唱破棄では難易度が全然違うし、扱える人物も変わって来るからだ。

 勿論、詠唱破棄を使えるミズハは開始早々に魔法を使い二回戦を勝利し、三回戦に歩を進めた。

 第八試合にシードのケニスが加わり、ケニスが詠唱破棄を使った事で観客は騒然とした。


 そしてついにやって来た準決勝第九試合。ナノハ対ミズハの試合が始まろうとしている。

 歓声に包まれる客席からリングに上がるナノハとミズハが見てとれる。


「ミズハ! 私が勝つからね!」


 ナノハの勝利宣言がされ武芸委員会の審判が開始の合図をするとミズハは突風を巻き起こした。


「【土よ】(宣言はしたもののミズハは詠唱破棄、速さでは負けるわね)」


 ナノハは突風を土の壁でやり過ごすと石の槍をミズハに向かって発射した。


「【樹よ】【風よ】」


 ナノハは更に呪文を重ねる。

 ミズハは飛んできた石の槍をかわし水の玉を作り出した所でナノハの樹魔法が邪魔をしカマイタチが発生した。

 咄嗟に飛びずさってから空中に逃れたミズハは宙に浮きながら言葉を発した。


「ナノハ、私を殺す気?」


「殺す気なんてないわよ! ミズハがこの位で死ぬ訳ないもの」


 ミズハは思った。


(殺す気がないという割に急所に向かってカマイタチが飛んできた気がするんだけど)


 ミズハがチラリと視線を下に向けるとミズハが居た地点から少し後ろに石畳を削った跡が入り乱れていた。


「さあ、行くわよ。【風よ】【樹よ】」


 ナノハは先ほどとは逆に呪文を唱えたが発生したのは風の鎖とそれを追う木の根だった。

 風は目に見えないので実際鎖なのかどうかは当たってみないと分からないが、ミズハはナノハの視線から当たりをつけて風の鎖を回避して火魔法で木の根を焼き払った。

 続いてナノハが呪文を唱えようとした時、雷の玉が紫電をなびかせて飛んできた。

 ナノハは何とか避けると土魔法を使い土の壁を作り出した。


(悔しい! 確かにミズハみたいに実戦経験はないけど私だってお父さんやお母さんと魔法の練習をしたのに!)


 ナノハが思い悩んでいる内に土の壁はガリガリと削られついに壁は崩れ去り水の玉が飛んできた。

 ナノハが咄嗟に手を出して衝撃に備えると手の先から蔦が生え出し水の玉を飲み込んだ。


(え? 私詠唱なんてしていないのに。……もしかして)


「……」


 無言のナノハが放ったのは詠唱破棄の樹魔法だった。

 無数に伸びる蔦が絡まりながらミズハのいる空中に伸びて行く。

 ミズハは僅かに瞠目すると、風を操り蔦から逃れて行く。


 ナノハは何度か詠唱破棄で魔法を発動しようとしたが、発動できたのは樹魔法のみ。つまり、ナノハが現在詠唱破棄で使える魔法は樹魔法のみとなる。

 その事に気付いたのはナノハだけではなくミズハも気付いていた。

 何度も魔法を避けつつ情報を集めていたのだ。


 ナノハが気合を入れて樹魔法を操り攻撃を仕掛けて行く。が、とうとうミズハが攻撃に転じた。

 地上から2メートルの上空に重魔法で重力を強烈に加えて行く。

 ミズハに向かって伸びていた蔦は重力に対抗できず、地上2メートルに網目状に這って行く。

 そして網目状に這った蔦でミズハとナノハの視界が遮られた。


 ミズハから放たれた魔力が魔法となしてナノハを襲う。

 視界を遮っていた蔦は火魔法で焼かれ、咄嗟に逃れようとしたナノハに闇色の鎖が襲いかかった。

 その闇色の鎖は蔦の陰から伸びていてナノハを拘束して行く。


《これはナノハ選手動けません! 勝負あったかー!?》


「……、私の負けよミズハ」


「勝者ミズハ選手!」


 ナノハが負けを認めた事でミズハの勝利が決まった。

 空中から降り立ったミズハはナノハを拘束していた闇の鎖を解いてナノハに向かって行く。


「まさか途中で詠唱破棄を使って来るとは思わなかったわ。勝つのに凄く苦労させられたわよ」


「次は私が勝つからね」


《ついに! ついに決着! 勝ったのはミズハ選手でした! これが準決勝とは思えません! ……おや? ミズハ選手が審判と何か話しているぞ》


「審判、魔力切れなので次の試合を棄権します」


 ミズハはナノハとの試合で魔力が切れかけている為、棄権を申し出た。


《おおっと! ミズハ選手決勝戦を棄権するそうです! それも仕方ありません! この試合を見ていた方ならわかるとは思いますが、もの凄い試合でした! 魔力が切れても仕方がありません! 皆様試合を終えた両選手に温かい拍手を!》


 ミズハが棄権するというのを知った観客からブーイングが出そうになったが、放送を担当していた武芸委員会の生徒の誘導で温かい拍手に変わった。

 こうして一年生魔法部門のミズハとナノハの試合は幕を下された。






戦闘描写が難しい……。

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