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「エムクマとはりこグマと6にんのハロウィンおばけ」2

 そして ハロウィンとうじつ。

 6にんのおばけたちは そらいろのておしぐるまをもって ひろばにいきました。


「「「「「「トリックオアトリート! おかしくれないと……」」」」」」


 6にんのおばけたちは びっくりします。

 ひろばには じぶんたちとおなじくらいの おおきさのおばけが たくさんいました。

 きゅうけつきに、ドラゴン。フランケンにイエティ。しゅるいもさまざまです。

 ひろばだけでなく、まちのいえいえをまわっては おおごえでさけんで おかしをもらっています。


「トリックオアトリート! おかしくれないといたずらするぞ!」


「まあこわい、さあおかしをあげるから いたずらしないで」


 おばけたちは てにしたかごに おかしをいれては うれしそうにしています。


「うわあ、いいなあ」


「おれたちも もらいにいこうぜ」


 がらがらがら がらがらがら


 ふくろおばけたちは そらいろのておしぐるまをおして いえいえをまわりました。


「「「「「「トリックオアトリート!!」」」」」」


 まちのじゅうにんは みんなふくろおばけたちに おかしをあげます。

 カップケーキにキャンディーポット。パイに焼きプリン。

 とくに、おかししょくにんの テオブロマがつくった こねこチョコレートを見た ふくろおばけたちは おおよろこびです。


「おれたちのかっこうのチョコだ!」


「うわあ、いっぱいある!」


「こんなにたべきれないよ」


「でも、おかあさんに みつかったら とりあげられちゃわない?」


「だいじょうぶだよ、このておしぐるまにかくしておこう」


 ひろばのむこうに エムクマとはりこグマがいました。

 エムクマは あかいチェックがらのすかーとに ねこみみのバレッタ、ほそいけん。

 はりこグマはいつものまえかけじゃなく、まほうつかいのとんがりぼうしとマント、ステッキをもっています。


「あっ、はりこグマだ」


「このあいだなかせたこと、おこってないかな」


「だいじょうぶだよ」


「「「「「「トリックオアトリート! はりこグマ。おかしくれないといたずらしちゃうぞ」」」」」」


「あっ、おばけさんたち。やくそくどおり、おかしつくったよ。いっぱいもっていって」


 はりこグマは おばけに はちのすワッフルと いえのまわりのクローバーばたけでとれたはちみつをわたします。


「わあ、はちのすワッフルだ!」


「それにはちみつも!」


「わたしがいちばんすきなやつだ!」


「おかあさんが こまかくわって ぎゅうにゅうにひたしてくれたのが おいしいんだよな」


「わたしも あかちゃんのころから だいすき!」


 おばけたちは 麻のふくろのなかで めをかがやかせます。


「おかあさん? あかちゃんのころから?」


 はりこグマはくびをかしげます。


 そのようすに おばけたちは あわてだしました。


「そ、そうだ。おれたちはようじをおもいだした。じゃあな」


 たくさんのおかしや はちのすワッフルを そらいろのておしぐるまに つみこみます。

 そして、ひろばからはなれようとした、そのときです。


「こら! あなたがた! またこんないたずらして!!」


 6にんのおばけはびくっとしました。そーっとふりむくと……。


「あっ! おかあさん!」


 そこには、しろいははねこがいました。


「あなたたち、ふうしゃごやにらくがきしたり、こむぎこのふくろをだまってもっていったそうね。

 それだけじゃなく、もりではりこグマちゃんをなかせて!

 きょうというきょうは ゆるしませんから!!」


 ははねこがふくろをひっぱると、なかから しろとぶちの こねこがでてきました。

 そうです、ふくろおばけのしょうたいは、エムクマたちがまえに はちのすワッフルや そらいろのておしぐるまをあげた しろいねこのこどもたちでした。


「わあ、ごめんなさい!」


「もうしません」


「いいえ、ゆるしません! あなたがた、おかしはぜんぶかえしなさい!」


「えー、やだ!」


「みんな、にげろ!」


 こねこたちは おかしをたくさんつんだ ておしぐるまをおして にげようとしました。


 がらがらがら がらがらがら――――


「「「「「「あっ!!」」」」」」


 がしゃん! がらん がらん


 ふだんから らんぼうにつかっているからか、きでできたしゃりんが はずれてしまいました。

 こねこ6にんのちからでは おしてもひいても うごきません。

 こねこたちは ぜんいん麻のふくろをぬぎました。


 しろに みけ、しろくろのしまもように きじとら。それにしろくろの ぶちがふたり。


 おかあさんににらまれた こねこたちは いっせいになきだします。


「うわあああああん、ごめんなさあい!」


「わたしたち、ハロウィンってはじめてだから たのしみにしてたの!」


「もう、いたずらしません! ゆるしてください!」


「おかしたべたいです!」


「すごくたのしみにしてたの!」


「こねこチョコレートだけでもーー!」


 こねこたちはにゃあにゃあ みいみいないています。


「だめです、ちゃんと フリッカさんと はりこグマちゃんにあやまりなさい」


 こねこたちは ワオキツネザルのフリッカに あやまります。


「フリッカさん、ふうしゃごやにらくがきしたり かってにこむぎのふくろをもっていってごめんなさい。もうしません。

 はりこグマちゃん、きゅうにおどろかせてごめんなさい、ゆるしてください」


「うん、いいよ。ゆるしてあげる。

 おかしはみんなでたべよう、いいでしょ、こねこたちのおかあさん」


「はりこグマちゃんがそういうなら、きょうのところは。

 あなたたち、ちゃんとてをあらうんですよ」


「「「「「「はーーい」」」」」」


 こねこたちは エムクマとはりこグマといっしょにおかしをたべました。


「やっぱり、すごくおいしい」


「こっちのパイも」


「やっぱり こねこチョコレートがいちばんね」




 そのうち、だんだんとあたりがくらくなってきます。

 すると、ひろばにオレンジ色のおおきなカボチャが いくつもはこばれてきました。

 カボチャはどれも目やはな 口がくりぬかれていて おばけのようです。

 まちのひとが カボチャの中に火をつけたろうそくをいれます。

 カボチャのランタンが くらくなったひろばをてらします。


「うわあ、すごくきれい」


「でも、ちょっとこわいね」


 こねこやはりこグマが カボチャのランタンの火を じっと見ていました。

 すると、あちこちからこえがきこえてきました。


 うおーーーーん


       うおーーーーん


             うおおーーーーん


「なあに? だれかのこえがするよ」


 はりこグマたちが上をみあげると――――


「うわあっ! ほんもののおばけだ!!」


 ひろばの上には、はんとうめいの おばけがたくさんういていました。それぞれ、あたまがカボチャやカブで、からだはシーツ。

 ぐるぐるとまわって、ひろばのうえにただよっています。


「フゥム、あのおばけたちは ここいらのはたけでとれる やさいのせいれいたちだ。

 ああしてじぶんたちの しそんが りっぱにできているか しゅうかくのじきにあらわれるんだ。

 そして はたけのもちぬしたちは せいれいたちに ことしもみまもってくれてありがとうと かんしゃする。

 それがここのハロウィンだよ」


 ながクマはこわれたておしぐるまを ひょいと ひろいあげます。


「フゥム、だいぶはでにつかっているようだな。これはなおしがいがありそうだ」


「なおせるの?」ぶちのこねこがながクマにたずねます。


「フゥム、もちろんだとも。これはわたしがつくったものだからね。


 きみたちはまだ小さかったからおぼえていないか。

 きみたちの おかあさんは このておしぐるまに きみたちぜんいんをのせて そだてていたんだ」


 カボチャやカブのおばけは 6にんのこねこの上を ぐるぐるとまわります。


「フゥム、おばけたちはきみたちに あいさつしているようだ。『これからもよろしく』ってね」


 それをきいた こねこたちは おばけたちにてをふります。

 おばけたちも こねこたちにてをふります。

 そしてカボチャのランタンにちかづくと、ろうそくの火をたべてしまいました。あたりはまっくらになります。


 すると、おばけたちは いっせいにそらにむかって 火をふきました。

 むらぜんたいが あかるくてらされます。


 ごおおおおーーーー ごおおおおーーーー


「うわあ、すごい!」


「すごくきれい!!」


「フゥム、あれがすむと、おばけたちは じぶんたちのすみかにかえる」


「そうだ、こねこさんたち、ておしぐるまがなおるまで こっちのをつかってよ」


 エムクマとはりこグマがこねこたちにいいます。


「ほんとう? ありがとう!」


「いつもすいません、ありがとうございます」




 こうして、エムクマとはりこグマとこねこたちの ハロウィンがおわりました。


 つぎの日、こどもたちが あさから むらのいえいえをまわります。

 てには ほうきやちりとり。ふくろをもっています。


「トリックオアトラッシュ!! ごみをださないといたずらするぞ!」


「まあまあ、ありがとう。はい、これがごみよ」


 むらのみんなはこどもたちに いえのごみをわたします。

 ハロウィンがおわってから いっしゅうかん、こどもたちは おかしをもらったおかえしに いえをまわって ごみをだしたり みちの おちばをはいてまわります。

 ごみはまとめてもやして おちばはいっかしょにまとめて ひりょうにします。

 そうすると、ハロウィンおばけたちはあんしんして じぶんたちのくに、おばけとふゆのくににかえっていきました。




 そうそう、ふくろおばけ、いえ6にんのいたずらこねこたちは どうしているでしょうか。


「おい、ちゃんとおしてるか? おもいぞ」


「そっちこそちゃんとひっぱれ」


「ふう、ふう、こむぎこっておもいなあ」




「フリッカさん、ふうしゃの うすのそうじおわりました」


「こっちがあさのふくろです。たたんでおきました」


「おそとの はきそうじも おわりました」


「おっ、そうか。みんながてつだってくれるから おおだすかりだよ。

 このじきは とくにしごとが おおくなるからね」


 こねこたちは おかあさんにしかられたあと フリッカのふうしゃごやをてつだうように いわれました。

 ながクマになおしてもらった そらいろのておしぐるまで こむぎこをむらのいえに はこんだりしておてつだいしました。


「よおし、こねこたち。ごほうびはだせないけど おかあさんにはないしょで みんなに おだちんを あげよう」


「ほんとに?」


「わあい、やったあ!」


 それをきいた こねこたちは いっしょうけんめい おてつだいしました。

 そしていっしゅうかんご、こねこたちだけでなく いえいえのごみをあつめてまわった こどもぜんいんに ピーナッツがたっぷりはいった しおキャラメルがくばられました。

 こどもたちはおおよろこびで いえにかえります。



 でも、その くばられた しおキャラメルは。


 ほかのこどもたちに くばられたのよりも なんとなくですが、こねこたちにはしょっぱかったみたいですよ。


 拙作『エムクマとはりこグマ』の後日談的なお話です。

 実家が農家なので、個人的にハロウィンのころは秋野菜を満喫できる楽しい時期です。

 料理しながらお話を考えるのは、至福のひと時ですね。

 備忘録がてら、話を考えながら作った料理を。


 新じゃがの粉吹きいも、バジル風味

 赤かぶとひき肉のとろみあんかけ、パプリカ風味

 かぼちゃとリンゴのコンポート、シナモンシュガーがけ

 鶏肉とひじきの炊き込みご飯

 山形の芋煮 豚コマ、醤油味 などなど

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