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9,非情に重い貸し一つ(13~14)


 専用腕時計さん容赦ないッス。


 倒れたテラッチを休ませることもなく、即電撃で起こすとは予想外すぎたッス。

 まあ、休ませても時間の無駄ッスからねー、だらだらと休んでる暇はないッス、精進するッスよ!


 と思ったら、なぁーっ! 見たことない魔法をテラッチが発動したッスよ。

 頭の上に魔力の玉を浮かべて脳内劇場を上映するって、誰得ッスか!


 脳内劇場では専用腕時計が黒髪美少女に擬人化してたッス。テラッチを優しく抱き寄せて膝枕を……。

 専用腕時計の電撃でその後の展開は阻止されたッス。なんでおかしな方向に才能あるッスか、そんな魔法見たことないッスよ。


 脳内劇場の魔法は無意識に発動させているっぽいッスね。さすがのメニューも驚いてぽかんとしてたッス。

 意外すぎるテラッチ、油断できないッスねー。




《斥候系技能の講習は準備中よ、ベイスとペーターの講座が進んだら紹介してあげるわ》


 びくぅ!

 覚えたい技能を選んでいたテラッチ。特におもしろポイントはなさそうだからと油断してたッス。いきなりの連絡に驚いたッス。

 ここでわざわざ伝えてきたってことはッスよ、これは斥候系技能の講師は……。


《そうね、シノービしか居ないわね》


《う、承りましたッス》


 ついにグ~タラ生活も終了ッスね。

 コタツでのんびりテラッチ観察も終わりを迎えたッス。


 とは言ってもそんなに心配してないッス、ベイスも付きっきりで指導しているわけじゃないッス。

 これに習ってテキトーにやることを教えて、あとは放置でテラッチは勝手に強くなるッス。

 これならコタツを離れる時間はちょっとで済むッス、完璧ッス。




「と言うわけで、シノービが斥候技能系の講師にきまりましたー」


「わー大歓迎ッスー、ヨユーッス」


「よかった喜んでもらえて。そこで講師用の制服を用意しましたー」


「ほえ? 制服? 制服ッスか?」


 メニューから渡された制服は、えんじ色の丈の短い忍者服、それに黒革のショートパンツに網タイツ、おまけに足袋も付いたコスプレフルセットッス。


「え、えーと、あーしだけ制服ッスか? コスプレッスよねこれ」


「ここで貸し一つの権利を使うわ。この制服は絶対! さらに語尾に『ござる』を追加よ!」


「なぁーっ!」


 メニューめっちゃ笑顔ッス、これは絶対前から準備してたッスね……。

 食べ物の恨みは恐ろしいとテラッチの文化ファイルにもあったッス……。まさかここでこんな形で来るとは面倒なことになったッス。

 絶対に断れないッス、絶望的状況ッス。


 もしやここまでの流れは全て罠だったッスか? 極上プリンが置いてあったらすぐ食べるのが乙女の自然な行動という物ッス、けどあれは罠だったッス。


「プリンは罠ッス。食べてはいけないッス。プリンはミカンじゃないッス」


「過去の自分に警告を送ろうとしても無駄ですからねー。早く着替えて見せてよ」



 八方ふさがりだったッス、コスプレ忍者衣装は見事にぴったりサイズだったッス。

 髪も後ろで緩くまとめさせられ、発動コマンドも『印を結んでニンニン』に変更されたッス……。

 お取り寄せのたびにニンニンッス……。

 コスプレ忍者衣装がちょっとかわいかったのが救いッスけど。


「似合うわね! かわいいじゃない」


「ぐふぅ。あーしは精神的ダメージを喰らったッス」


「語尾は『ござる』でしょ」


「ぐふぉ。さらにとどめを刺されたッス、ござる」


「あははは、やっぱり忍者は『ござる』よねー。とってもかわいい忍者が誕生したわね」


 大満足のメニューが帰って行ったッス。

 あーしのゆるっと楽々スウェット生活は終わりを迎えたッス……。

 あ! 普段はこれじゃなくていいのか聞くの忘れたッス。

 や! 聞かないで正解ッス……。聞いたらきっと面白がって『常にその衣装』と言われるに違いないッス。



 フフーリ。早速スウェットに衣装チェンジッス。

 コスプレ忍者衣装は勝負服と言うことにすれば大丈夫ッス、問題ないッス。

 テラッチの文化ファイルによると、勝負服はできる女性必須アイテムらしいッスからノープロブレムッス。……のはずッス。


 なんとか自分を取り戻せたッス。

 スウェットとハンテン、それからコタツ装備はあーしの戦闘服ッスからね。

 などと慌ただしくしているうちにテラッチが節約魔法を使えるようになっていたッスよ! 

 難しいはずの節約魔法をこんなに早く覚えるとは驚いたッスねー。これならあーしの鬼の講習にも付いてこられそうッス。

 ベイスも防御魔法を教え始めたッス、これならかなり厳しい特訓でも耐えられそうッス、完璧ッス。



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