31,一番いい物到着(40~41)
『無効化されないってことは魔法じゃない。殻を通過するってことは物理攻撃じゃない? いやそれは……。よし、【氷の壁】!』
「あぁ、魔法無効空間で自分を包んだのか、その上で反対の力の殻で自分を包んで。なるほどな」
「魔法攻撃か物理攻撃かを見極めようとしたのですね。でもどちらも通過したと」
「そこからの氷の壁で自分を包んだのはいい選択だネ~~~♪」
テラッチは残り時間が少ないと焦っていたッス。でも諦めずにできることを頑張っているッス、ほんの少しだけ応援したくなったッスよ。
「氷の壁で防御できたな」【あの子の立場で見るといろいろ歯がゆいわね】
テラッチの持つ全ての防御魔法は役に立たなかったッスが、氷の壁では防御できるッス。テラッチは気が付くッスかね?
【湯気が晴れてきたわね】「うぉ見えた! カエルか」「大きいネ~~~♪」
氷で湯気が冷やされて見えてきたっすね、種明かしをするッス。
「隠れるのが得意なカエルッス。気配も魔力も隠して、平べったく壁にへばり付くと空間把握でも見つけにくいッス」
「なるほどな、こいつの前の溶岩ゴーレムを水で冷やして倒すと読んでのカエルか。考えたな」
その通りッスよ、盛り上がって良かったッス。
隠れていないカエルはただのカエルだったッス。あっさり倒されてダンジョン攻略されたッス。
「時間ギリギリだったんじゃねぇか?」
「二十八分ッスね、ギリギリッス」
狙い通りの時間だったッスが、もう少し早くても良かったッスよ。氷の壁をもう少し早く出していれば良かったッスねー。
「景品が増えてるヨ~~~♪」【シノービの景品ね】
「特製の景品を追加したッス。テラッチの役に立つ物を――」
『えっと、一ランク下の景品が追加されたってことは……、昨日一回引いておけば良かったのかな……』
「ガハハハ、あんなこと言ってるぞあいつ」
【シノービの追加した景品だって知ったら……】
ぐぬぬぬーッス、ディスられたッス、テラッチのくせにー、きぃーッス。
「ただいま戻ったのです」
「おつかれぃ! 盛り上がったぞ」「良かったヨ~~~♪」「面白い物を見られましたね」
「ありがとうなのです。シノービ姉さんがぐぬぬ顔なのです、どうしたのです?」
「メイ! テラッチをコテンパンにする作戦をがっちり立てるッスよ!」
三日後ッス。三日後にテラッチをコテンパンにするッスよー。ちょっと楽しくなってきたッス。
◇
フフーリ。もう勝ったも同然ッスよ!
ホームパーティーのどんちゃん騒ぎも落ち着いて、そろそろ解散しようかという時にそれは来たッス!
ロクコから一番いい物用意できたって連絡が来たんッスよ、早速専用の部屋を用意して二台設置したッス。楽しみッス、わくわくドキドキッスよー。
「メイ例のものが来たッス、行くッスよ」
メイが何か言ってたッスが、そのまま連れてきたッス。
「急いで接続するッスよ!」
二人でいそいそ接続設置作業といろいろ設定ッス。
ロクコが用意してくれた物は『パーソナルホロルーム:ホロギア』ッス。簡単に言うと装置内部にホログラムを投影して、仮想空間で旅行したり冒険したりできるッス。
テラッチの文化ファイルで一番近い物と言えば……VR装置ッスかね? 今回はロールプレイングゲームするッスから、VRMMORPGと言うことになるッスね。
接続とかいろいろ終わったので早速ゲームの世界に行こうとしたッスが、メイに『さいきょーこそパワー』と言われて留まったッス。
目的は小ダンジョンで使えるモンスターの調査ッス。雑魚モンスターを調査しても仕方ないッス、さいきょーになって最強のモンスターを調査すれば小ダンジョンがパワーアップするッス。急がば回れッスね。
美少女ゲーマーは事前準備を怠らないッス。
◇
「よゆーだったッスね。次はもっと強いモンスターと戦いたいッスね」
「準備ばっちりだったのです、結構楽しかったのです。戻ってきたら縮んじゃったのがちょっと悲しいのです」
メイは胸の辺りを見てなんだか残念そうにしてるッス。いいんッスよ、そこには夢も希望も入ってないッスから。
そろそろテラッチの講習準備をしないといけないので、きりのいい所でゲームは終了したッス。それなりの収穫があったッスから、小ダンジョンの方は心配無用ッス。
今日テラッチにはマッピングのレベルアップをしてもらうッス。マッピング専用のダンジョンを用意したッスよ。
前半はとてもいやな床マップッス。ねばねばとかドロドロとか吊り橋、そんな道をマッピングしながら進むッス。
後半は立体迷路ッス。立体的に入り組んだ道をマッピングしながら進む高度な技術が要求されるダンジョンにしたッス。テラッチ大喜びの顔が……、……ッス。
ばっちり準備も整ったッスから、のんびりテラッチの様子でも――。
《みんな神殿に集まれ―》
むむ、緊急呼び出しッスね。テラッチには悪いッスけど今日は自習ッス、準備したら神殿に急ぐッスよ!




