3,ぼろタマのナニカは危険でやっかい(2~3)
これから面倒な仕事が増えると判明したッス。
今のうちにダラ~~ン成分を補充しないといけなくなったッス。
いそいそとあーしの自室こと、落ち着きルームに帰ったッス。
しかしスウェットはいいッスね。だら~んするための機能美とでも言うッスか? ゆたっとした作りで締め付けないフォルム、肌触りのいい生地は厚めで寝転んでも皺になりにくい、これからはスウェット一本で行くと決めたッス。
ぼろタマが名前を決めている最中にあのお方が戻られたようッス。ケンサンを呼び出してぼろタマの調査結果を聞いているッスね。
ふむふむほうほう。
ナニカが破裂して拡散すると危ないから、ぼろタマは消すこともできないッスね。
なるほどなるほど。
ぼろタマは弱っちぃから、ちょっと強くしないと破裂してみんなに迷惑を掛けるってことッスね。
破裂しなくても面倒なことに巻き込まれたッスけど……。
まあいいッス、魅力的な女性は常に前向きに物事を考えるッス。
ケンサンの説明はここの皆に『連絡』で通達されたッス。
ぼろタマに埋め込まれたものは『ナニカ』という名前になったッス。何かわからないからナニカとか安易な……。危ない危ないまた禁則事項に触れてしまう所だったッス。
ケンサンの推測によると、ナニカに取り憑かれるとぼやーっとした感じになってしまうのは、タマシイの活動速度を抑えられてしまうからではないかと言うことだったッス。
ナニカとやら、かなりやっかいッスね。
それとぼろタマには強化補助薬を摂取させて、タマシイを強くすることになったッス。
強くならないとナニカを取り出せないから、ぼろタマには頑張ってもらわないといけないッスね。
「テ……テラオッスか……。せっかく自分で名前を決める機会があったのに、なんか普通ッス……すごく普通ッス」
おっと、驚きすぎて声が出てしまったッス。
あのお方がぼろタマの元に戻ったらまだ名前決めてなかったッスよ。優柔不断でへたれッスね。
あーしの付けたぼろタマなんてすごくいいと思うんッスけど。
あのお方に伝えておけば良かったッスね。ぼろタマより短くなってるのはいいッスけど、呼びにくいッスね。
うん、これからぼろタマは『テラッチ』と呼ぶことにしたッス。
なんか下僕っぽい響きが気に入ったッス。
お、あのボディーはあーしがコネコネした粘土製ッスね。
ぼろタマ姿のテラッチじゃあ訓練とかできないッスもんね。
粘土細工が得意なペーターが仕上げた、高性能ボディーがあればブッスブッス刺してもヨユーッスからね。
《あたしのことはメニューと呼んでくれればいいわ》
な!! な、なんですとぉーっ!
《様とかさんとかいらないからメニューって呼んでくれればいいわ》
お、驚いたッス。あのお方が自分に名前を付けたついたッス、これは久々のことッスよ。しかも首脳陣にも呼び方を通達するという一大事。
今後はうっかり違う名前で呼んだりしないように気をつけねばッス。
◇
さっきベイスが作った島にテラッチが招待されたッスね。
ふふん驚くがいいッス。
あーしもちょっと手伝ったッスから褒めてもいいんッスよ。まあほとんどベイスが作ってたから、ゴザ敷いただけッスけどね。
む、テラッチの居住スペースに指定されたゴザはあーしが敷いた物ッスよ。普通のゴザとかディスられたッス。
ちょっとだけイラッっとしたッスけど、できる女は寛大ッス。
ふむふむ、クエストとはああいう物ッスか。
メニューの見事な看板捌きでテラッチの目の前に出されたクエストは、島に居る五匹の羊から毛を集めると、報酬に服をもらえるというものだったッス。
試練をやり遂げると報酬をもらえるッスね。
あーしも指導する立場になったらクエストを考えてみたいッスね。
それにしても、ペーターのBGMアンドダンスからの台詞の流れはじれったいッスね。あれ毎回デフォなんッスかね。
あー、テラッチが羊の毛を集めるクエスト始めたッスけど、おもしろポイントなさそうッスね。ちょっとグダ~っとするッス。
と思ったら、あぁーっ。テラッチが面倒なことを言い出したッス。
なんすかステータスオープンって、諜報部隊大忙しになっちゃうじゃないッスか! あーしのダラ~~ン生活が今後一切なくなる危機ッスよ!
断固阻止ッス。
こうなったらテラッチを丸めてぽいっと捨ててでも阻止するッス!
『はぁ……、そんな物は用意されてないわよ。だいたい誰が管理するのよそれ』
《諜報部隊にはそんな余裕は一切ないッス、断固拒否ッス!》
《あははは。わかってるわよ、あたしもそんなの管理したくないしね》
メニューさすがッス、できる上司は違うッス。
あーしも見習ってさらにいい女を磨くッス。
まったく面倒しか起こさないテラッチは、羊に蹴られてぼこぼこになるがいいさッス。