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23,一緒に成長するということ(30~31)


 しゃべりすぎて疲れたッス。

 ダンジョンの中という環境も美肌に良くない気がするッス。でも、真面目に聞いているテラッチのためにあーしも頑張るッス。


 テラッチに重要なことは伝えられたと思うッスけど、ちゃんと理解できているかは不安ッス。

 何度か実践させて、間違っている所があったら指導する方法でと思っているッス。習うより慣れろッス。百聞は一見にしかずッス。


 で、本当は落とし穴に落とす前に、武器を取りに行ってもらうつもりだったッスが、うっかりだったッス。

 今から取りに戻らせるのも、あーしが忘れていたことがばれるのでかっこわるいッス。仕方ないから武器倉庫から希望の武器を引き寄せたッス。

 今回限りの特別サービスッス。片付けは自分でやらせるッス。


 必要な装備と知識は与えたッス、あとはのんびり高みの見物ッス。

 コタツに戻ってお茶でも飲みながらテラッチを観察するッス。



『モンスターが居ないはずはない! 警戒をしなくなると途端に襲われるパターンも考えられるよね』


 ば、ばれたッス! テラッチのくせに生意気ッス。

 マッピングに集中して警戒が疎かになると予想してたッス。警戒が切れたら角からモンスターを出す仕掛けを用意してたッスが無駄になったっぽいッスね。

 残念ッスが、成長を喜ぶ所ッスよね。


 今回のダンジョン『シノービダンジョン一号』ッスけど、ぐるぐると四角い渦巻きになっているだけのダンジョンッス。

 マッピング講習第一回用に、複雑ではないッスけど面倒なものを考えてみたッスよ。

 ただし、マッピングで手抜きするとすぐにわかるッス。

 きっちり同じ距離じゃなくってちょっと台形だったりするッス。意地悪じゃないッス、これはマッピング講習ッスからね。

 そして最後の角を曲がると、ゆるやか~なカーブで上り坂になっているッス。ボス前の演出ッス、今までと違う通路で緊張感を演出するッス。

 美少女ダンジョン職人の細部へのこだわりッス。




 それにしてもテラッチの進行速度はゆっくりッスね、警戒しながら慣れないマッピングをしてるから仕方ないッスけどね。

 むむ、テラッチも自覚していたみたいッス、走った時と歩いた時の歩数を計って次回の速度アップを狙うっぽいッス。こういう前向きな考えは応援しないとッスね。


 どんな応援が喜ばれるッスかね、あんまり手助けするのは良くないッスからさりげない物がいいッスね。後で考えるッス。


 お、やっと最後の通路ッスね、ラスボス前の演出通路にテラッチが現れたッスよ。

 ふふーん、恐れおののくがいいッス。

 ……あれ? 普通に上ってるッス……、演出が足りなかったッスか? 期待外れッスねー。


 ラスボス部屋の扉前まで来たッス。

 この扉は気配とか魔力とか遮断する、高性能だけど普通に見える扉を採用してるッス。ここまで結構掛かったッスね、昨日の講習の倍位の時間が掛かってるッス。

 あ、あれ? 昨日の講習は……、わ、忘れてたッス! この後座学があるッス! 気配を大きくするのは明日と、昨日言ったッス。

 危なかったッス、うっかりが多すぎるッス。ダンジョン作るのがおもしろで熱中してたから忘れたッス。

 予定帳とか作ったほうがいいかもしれないッス。

 できる女はスケジュール管理もばっちりッスから作ったほうがいいッスね。




 ラスボスに用意した木人形が、あっさりやられてしまったッス。

 拘束の魔法で縛られてブッスブッス刺されてたッス、ばらばらになってたッス。

 しかし奴はラスボスの中でも最弱ッス。次回からはその辺うろうろするモブとしてたくさん増えて復活するッス。


 テラッチがラスボス倒して帰ってきたッス。

 強敵を倒したのがうれしかったのか目が輝いているように見えるッス。じわじわと寄ってきているので警戒が必要ッス。


 ダンジョン攻略者テラッチをちゃんと褒めてあげたッスよ。

 にじり寄りが飛びつきに変わりそうだったッスけど、苦しそうな顔をしてこらえてたッス。

 テラッチはちょっとよくわからない行動をするッスよね。


 で、さっき思い出した昨日の続きの座学を始めたッス。

 気配を大きくするのに、ベイスの無駄にでっかい気配、威圧感ッスね、を思い出してそれをイメージしてみるように言ったッス。

 でも、力むばっかりで気配に動きが全然感じられなかったッス。

 あーしが気配を大きくする時にどうしているかを伝えてみたけどダメ、講師としてどうしたらいいか悩んだ時に、ベイスがでっかいハンマーもって現れた時のことを思い出したッス。

 そう、きっかけが必要ッス。

 きっかけになりそうなことと言えば、怒りテラッチッス。あんまりあの時のことを思い出させるのは気が進まないッスけど……。


「あの時の盗賊を思い出すッス、ござる」


 後悔したッス。

 気配を大きくすることは成功したッス。けど、もっと他の方法があったかもしれないと、あーしが未熟なばっかりにテラッチの傷を抉ってしまった気がするッス。

 お詫びとしてさっきちらっと考えていた、ちょっと役立つ手助けの品を進呈したッス。うっほうっほ喜んでくれたから心配要らなそうで良かったッス。


 進呈した一メートル長さの『ただの棒』を持ったテラッチがウンババウンバと三周したところで、メニューの看板『チュートリアル -治癒魔法編-』がテラッチの目の前にバン! と現れたッス。

 今日の講習はここまでッスね。テラッチは礼儀正しく帰って行ったッスよ。武器と盾も持っていったので、片付けも忘れてなかったッス。


「おつかれさま、盗賊を思い出させたことは気にすることじゃないわ。逆に盗賊と言うだけで傷を抉られるようなら、成長できていないってことだしね」


「そうッスかね? 気配のコントロールのきっかけ、焦らないでもっと考えれば他にもあったかもしれなかったッス。あーしはちゃんと講師ができているのか不安ッスざる」


「んー、ちゃんとできているわよ。あの子のことを考えて今日も準備してたでしょ。最初から完璧には難しいけど、一緒に成長するつもりでやれば良いんじゃない?」


「なるほどッス。一緒に成長ッスね。わかったッス、道が開けたッスござる」


「良かったわ。じゃ落ち着きルームでのんびりしてなさい」


 メニューはパチンと消えていったッス。

 あーしも落ち着きルームに戻るッス。さっさと戦闘服スウェットに着替えてぼや~~っとするッス。



 ババロアを食べて落ち着いた所で、テラッチの治癒魔法講習を見てみることにしたッス。


 わ、忘れてたッス! 

 ケンサンの部屋にテラッチが入ると、スポットライトがビッカーと灯る仕掛け。

 仕掛けたまま結果を見るのを忘れてたッス……。

 今日一番のガックシポイントッス……。


 ふむふむ、テラッチは魔力にお願いして魔法を使う、という形を取っているッスから教えるほうも大変ッスね。

 説明が複雑で聞いてるほうも混乱しがちッス。『お願いするようにお願いする』とか何言ってるのかわかんなくなるッスよね。

 テラッチもノートに書き込みながら悩んでいるッスね。


 むむ、テラッチのおかしな魔法が発動したッス。『テラッチ劇場』とでも名付けるッス。ほわわんと浮かぶテラッチ劇場をチラ見ッスよ。


「ぶふぉっ、ロボテラッチ! 巨大修理ロボって何すかそれは何すかそれは。

 なぁーーーーっ? 助けを求めていた謎の美少女ロボの正体は、ロボ化したあーしだったッス! 驚愕の事実ッス!」


 ふぅ、あまりのことに声が出てたッス。だ、だいたいあってるッス……。ケンサンの説明をわかりやすく解説したら、これで間違っていないッス……。


 怪我をしたあーしっぽいロボことロボシノービを、正義の巨大修理ロボことロボテラッチが、ミニロボテラッチを使って直してくれたッス。

 ミニロボテラッチがテラッチの魔力を表現した物で、指示を出すロボテラッチとかその辺の設定が、ケンサンの治癒魔法のわかりにくい説明をすごくわかりやすく再現していたッス。

 正直感心したッス、相変わらず変な所に才能があるッス。


 だがしかーし! エンディングを見て呆気に取られすぎて、棒手裏剣も忘れるほどぽかーんだったッス。

 『テラッチすてきー、きゃー』ってあーしの台詞は何なんッスか、どさくさに紛れてロボ消えてたッスよ。

 想像の世界から返ってきたテラッチの、やりきった感漂うドヤ顔……。

 手裏剣を投げ損なった悔しさをどこかにぶつけたいッス……。


 ケンサンさすがッス。

 その後の展開を想像しようとしたテラッチを、直前で見事阻止したッス。もうテラッチの想像空間はおなかいっぱいッス、要らないッス。


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